スペイン旅情2 – 壁

Kazu Shimura

Kazu Shimura

志村一隆

 マドリードで1泊してから、バルセロナまで電車で移動した。2時間50分。時速300キロ近く出ている。走り出して5分もするとすぐ平原や赤茶けた岩ばかりの風景になる。ロシアのプーチン大統領は、日本に来た時「街が途切れない」ことにビックリしたらしいが、自分はその逆に驚く。

 バルセロナのサンツ駅に着くと、そのままカンファレンスのバッジ(入場券)を貰う。会場では捌き切れないので、駅や空港で分散させて入場券を配るシステム。イベントの運営ノウハウが、行くたびに改善されている。

 2-3年前からは、地下鉄やバスの乗り放題チケットもくれる。これで、切符を買うのに長い列を作らずに済む。乗り放題なので気軽に街に繰り出せて経済効果もありそう。

 それと、よく改札で立ち往生している人がいる。バルセロナの古いタイプの改札が左利き?というか、通路が通常と逆なのである。右手で切符を入れ、改札を通ろうとすると「ガタっ」と通せんぼされてしまう。今年は、古い改札に「こちらを通れ」という矢印が付いていた。こうした細やかな改善は、主催者団体の凄さなのか、バルセロナの気質なのかどっちなんだろう。

 いっぽうで、この時期を狙って公共交通の運転手たちが賃上げデモをする。サンツ駅でも太鼓が鳴り響き、オレンジと赤の旗を持った人たちがデモをしていた。地下鉄もノロノロ運転だった。地元の友人は、「いつものことだ。ストライキしてたけどゲームをしてたらしい」とジョークのタネになっていた。

 友人のようにイベントのランチ会場で盛り上がっている人たちとその脇でゴミを集めている人とは全く交じり合わない。「あっ。すいません」みたいな一言もない。IoTや5Gといった最先端の技術が展示してある会場でゴミを集めているオジサンは一体どんな気持ちで仕事をしているのか。

 アトラクションで順番待ちしていたら、政治家なのかどこからか長身の男性と女性が現れ、スーッと体験して行った。待っている我々の存在に気付いてないかのような振る舞い。ビジネスエリートはゴミ集めの人に興味を示さないが、そんな彼らも政治家だかVIPには、全く意識されていない。

 トランプ大統領で話題の分断や、格差・貧困が問題視される。そうした分断や格差があってはイケナイと考えるのは、人間皆平等という前提があるからだろう。ところが、ヨーロッパに来ると、そんなものは幻想で、人間には乗り越えられない階級があり、その中で生きていくしかないのが現実じゃないかと思えてくる。(続く