『友情』

M.Hasegawa長谷川 美波

 友情とは、学生の間よりも卒業してからの方が意外と深まるものなのかもしれません。

 私がこれまでの学生生活で1番楽しかったのは、高校生活です。高校時代の友人は一生付き合いが続くとよく言われますが、当時私が所属していたバスケットボール部で一緒だった同学年の6名とは、数え切れないほどの思い出があります。朝から放課後まで、家族よりも多くの時間を共に過ごしていたのですから。学校に泊まり込んで夏合宿をしたり、学園祭で慣れないダンスを披露して場を盛り上げたり。部員の間で野球ブームが到来すると、部活とは別に「野球同好会」を結成したこともありました。卒業アルバムにバスケットボール部と野球同好会の二つの欄に同じ部員の写真が掲載されたのは良い思い出です。

 大学入試をそれぞれ乗り越えて迎えた、3月19日の卒業式。あと10日もすれば大学に入学して毎日会えなくなってしまうというのに、不思議と「悲しい」という感情はありませんでした。卒業する実感が湧かなかったからです。「卒業したらもう制服を着て高校に来ることはないんだ」、そう考えたら「寂しい」とは思いました。しかし、「ほとんど東京の大学に進学するし、どうせまた部員だった仲間には何回も会えるだろう」と思っていたので、卒業するということにあまり感情はありませんでした。

 しかし、「卒業」とは別れだけではなく、その先には新しい出会いや、新しい生活をも意味します。部員はそれぞれ別々の道を進み始め、卒業後は全員で揃うことは滅多になくなってしまいました。それぞれの日程を合わせて会うというのが、なかなか難しいのです。しかし、そんな中でも日程が合い、実際に話をすると、皆高校生活の思い出話に花が咲きます。「もう一度あの頃の生活に戻りたい」、そう思うときもしばしばあります。大学生のようにアルバイトをしたり、将来のことを真剣に考えたりする必要もなく、毎日を楽しく過ごせばよかった高校生活の3年間はとても貴重な時間だったのだと卒業してから気づかされました。

 先日、母校のバスケットボール部のOB会に参加する機会がありました。卒業直後の若者から、最年長の80歳まで約60名が毎年1度集まって、一緒にバスケットボールをした後、懇親会を開きます。そこでの会話に耳を傾けると、学生生活の思い出話ばかりで、何歳になっても生き生きと思い出話をされる姿は素敵だなと思いました。50代くらいまでの卒業生の有志でクラブチームを作り、毎週バスケットボールをしているそうです。学生当時は先輩後輩の関係であまり話せなかった人とも仲良くなることも多いのだとか。

 卒業すると、学生時代の友人たちと会う機会は減ります。しかし、同じ時間を同じ場所で過ごしたという事実はいつまでも変わることなく、共通の認識としてそれぞれの中にあり続けます。卒業後に久しぶりに会ったとしても不思議と安心感を覚える特別な存在となるのです。単に会う回数や時間が多い人だけが親しい友人とは限りません。友情の深まり方には、いろいろな形があるのではないでしょうか。