2.この時代の変わり目に


「女性は組織に頼らないんです。というか、頼れなかったんです」

出演
関口宏(自称テレビ屋)
君和田正夫(独立メディア塾塾長・元朝日新聞・元テレビ朝日社長)
田中優子(法政大学総長・江戸文化研究)

前回

田中 おっしゃるとおりで、いままで自分は就職できないんじゃないかとか、受け入れられないんじゃないかと思っていた女性たちがどんどん仕事につけるようになって、そういう先輩たちを見てるわけですね。そうすると女性たちにとっては希望があるんですよ。

関口 うん。

田中 つまり、良くなっている、という感覚を持つことができる。それもひとつの理由としては女性は組織に頼らないんです。というか、頼れなかったんです。

関口 いままでは?

田中 いままでは、組織の中で出世するとか、組織の中で何か保証してもらうとかいうことは、あまり見受けられなかったわけですよね。自分の周辺を見ていても。その気持ちというのは今でも女性の中にはあって、自分が力をつける、自分の能力でやっていく、自分がちゃんとしてるから大丈夫だっていう、そっちの自己肯定感なんですね。つまり、相対的な、誰より優秀だとか、人と比べるんでなくて。私は私、私がちゃんとしていれば私は生きていかれる。かなり基本的な自己肯定感を女性たちが持ち始めている

関口 へぇ。

田中 だから、強いんです。

関口 そうなの。男性はなぜ自己肯定感を持てないんでしょう?

君和田 どうしてですかね?

田中 比較ばかりするからです。他人と。特に男同士で。

関口 学生さん見ていて、そういうところありますか?

田中 若い学生たちは、男性たちもだんだんそれは少なくなってきていますが、私の年代の男性やお二人の年代の男性や、ちょっと下の年代の男性を見てると、ほんとにまだこうなんだなって思いますよね。

関口 あぁ。そう?

田中 つまり、誰かと比べて自分は、どれだけ賢いだろうとか、なになにができるとか、スポーツがどれだけとか、いつもなにか意識している。

君和田 田中先生がおっしゃるように、誰かと比べてっていうのは、男の子の方が激しいんだと思う。

田中 激しいです。

君和田 たとえば父親と比べてね。父親がね、こういう大学を出て、こういう会社に入った、課長までいった、部長までいった、という世界とそこに自分を置いていくと、やだなあっていうね。俺にできるかなっていう感じが、多分あると思うの。女性はね、母親が多分、当時はまだ社会進出、遅れてる部分もあるから、自分がやれば、努力すれば、跳ね返ってくる部分があるんですね。報われているかは別にして何らかのリアクションがあるはずですよ。そこはね、いま女性の方が面白いのかな。

関口 そうだな。

田中 初めてのことをいろいろやってる感じがするっていうのはありますね。私も女性として初めて大きな大学の総長になったわけだけども、そういう展開って、若い頃は考えられないわけですよ。想像できない。自分が何かの組織の中のトップになるとか、言葉は古いけれど、出世するってことを想像すらしないわけですよね。男性の場合はどこかで希望したり想像していたりする。そうじゃないという自分が出てきたときに、思うようにならなかったっていうのは男性の方が多いんでしょうね。

関口 そうなのかな。まぁ、でも女性がそういう働く意識とか、自分で生きていく力強さみたいなものを感じられる時代であるならば、それは悪い時代ではない。

田中 そうですね。

関口 ただ、僕らは、いい時代を知ちゃって、それがいい時代だったと断言できるかどうかわかりませんが、なにか閉塞感みたいなものを世の中に感じるでしょう?なんか行き詰まっちゃったかなみたいな。それは、田中さんはお感じになる?

続く

 
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