5.この時代の変わり目に

これまでの時代・これからの時代。
現代への憂と期待を、大人たちが語り合う。



2017年8月
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出演:
関口宏(自称テレビ屋)
君和田正夫(独立メディア塾塾長・元朝日新聞・元テレビ朝日社長)
田中優子(法政大学総長・江戸文化研究)

前回

関口 とにかくあのネットとか、スマホとか、あぁいうものでやりとりしてるから、直に会った人と話すような、そういうのが、どんどん苦手になってる人が増えてるって聞いたことがある。

田中 そうかもしれません。それだと大学の中にいられなくなるので、そういう風にならないように導いていくわけです。

関口 でも、そうじゃない人が増えてるらしいですよ。なんだろ、会話の教室とかね。就職前になるとそういうところへ行って教えてもらう。会話を。会話はあなた自身があなた自身であればいいんじゃないですか。と僕は思うんだけれども。なんだろう。それは。

田中 それは、どちらかと言うと就職のための会話と、自分自身の会話と間にかなり距離があるっていう風に感じている。

関口 なんで距離ができちゃいますか?

田中 そうですね。。求めている。。

関口 やはり、スマホじゃないですか?

田中 でも、スマホで会話もしてるんですよ。

関口 あの会話は、すぐ出てくるんじゃないんですか。パッと言葉が。

田中 (笑)そればっかりやってる人はね。

君和田 スマホでも、直接会ってでもいいんですけど、僕の印象はね。いまの若い人は、あんまりね。相手にグサっといくような会話、みんなスレ違いでやってるんですよ。

関口 どういうことでしょう?

君和田 安倍さんと一緒で、相手の質問にまともに答えないで。。

関口 それは、自分が傷つきたくないから?

君和田 それもあると思うんですけど。

関口 ぶつかりたくない。

君和田 安倍さんほど、露骨なね、逃げ方じゃないんだけど、さらっとかわしてるんですよ。だけど、たとえば、教室なんかでも、文章書かすと、これどういう意味だ?前に書いてることと矛盾してるんじゃないか?って、ギリギリ詰めていくと、そこで初めて会話が成立してくるんです。僕が教えているときに、彼らに話させる方が長くなってきてるんです。

関口 いいじゃないですか。

君和田 いままで、一方的にしゃべったのだと、関口さんが言ってたように、話が成立しない。

関口 ということが起こってる。若い人の間で。

田中 おっしゃるように、本当は話したいし、本当は書きたいんですよ。書かせると、ものすごく書くんですよ。

君和田 おっしゃるとおり。

田中 だから、別に話したくないわけでもないし、意見を持ってないわけでもないんですね。それを、ちゃんとこちらが許容して、受け止めているんですよ。こちらとしては、あなたと会話をしようとしてるんだ、と言う態度を見せなければ、やっぱり、そこに自分で食らいついてくることがないっていうことですよね。

関口 まぁ。仕方がないかな。受け入れる方が、どういう風に受け入れてくれるかによると。

君和田 若い人が、そういう意味で可哀想だなと思うのは、文章を書くチャンスが少ないんですよ。書くチャンスってのは、それこそあるのはメールとかで。メールの文章っていうのは、短い。まず、基本的に短い。それから、最悪なのは匿名だって言うことなんですよ。

田中 そうですね。

君和田 匿名と短い文章の組み合わせっていうのは、今の若い人の作文能力をまったくダメにしているんですね。授業はもちろん実名なんですけど。実名で書かせる。それで、書かせると、書くんです。ある一定の量、400字詰めで何枚までってやると、書けるんですよ。彼らは。それで、もうひとつ大事なのは、書いたものを発表する場を与えてあげることなんです。独立メディア塾に、ときどき上智の学生が出るのは、そういうわけなんだけど。実名で自分の書いたものが公の、知らない人の目にさらされるっていう経験は、彼らからすると、びっくり仰天の世界なんですね。それをやってやらないと、多分どんどん文章能力は落ちていくんだと思いますね。

続く

(制作)「日めくりテレビ」