10. この時代の変わり目に

8月10日
これまでの時代・これからの時代。現代への憂と期待を、大人たちが語り合う。

関口宏(自称テレビ屋)
君和田正夫(独立メディア塾塾長・元朝日新聞・元テレビ朝日社長)
田中優子(法政大学総長・江戸文化研究)

前回

関口 しかし、それを今の学生さんたちは、ちゃんと理解できてますか?

田中 外をよく見てますから。

関口 見てますか?

田中 えぇ。それから、あと自分自身の体験としては、ブラックバイト体験とか。

関口 どういうことですか?

田中 アルバイトにみんな行くんですけど、過酷なアルバイトの経験っていうのは、随分多くの学生が持っているんですね。

関口 それは、なんでですか?

田中 それはもちろん安い金額で学生はこき使えるから。

関口 学生はなんでそこに行きますか?

田中 あっ。まぁ、それはいろんな事情で、そこにしか、そこでしか、なんていうんでしょう。学校にいかなければいけませんから、ある程度の時間しか、働けないから。そういう都合のつく時間というのは、そういうところが多いんですよ。あの食べ物屋さんとか。

関口 はいはい。

田中 ただ、そこで経験するわけですね。経験するとどうなるかというと、8割方はしょうがないなとあきらめるんです。

関口 なにをですか。

田中 こういう思いをしたけれども、そんなもんだろうと思うわけですね。ところが、あと20%ぐらいは、やっぱり変だなと思うんですよね。

関口 なにが変なんですか。

田中 この働き方をさせられること自体が。おかしいんじゃないか。おかしいんじゃないかと疑問に思った学生たちは、じゃあ誰かに聴いてみようと言うことになって、色々と会話の中でユニオンというのがあるということを知って、ユニオンというのは、アルバイトの人たちも横のつながりを。

関口 なるほど。

田中 労働者ユニオンです。そういうとこに関わるようになって、学生ユニオンを立ち上げましたとかね。そういう学生たちが、今度出てくるんですよ。ですから、そういう経験を通じて、社会的な運動に目覚めていくということが学生時代に起こるんです。で、もういっぽうでは、さっき言いましたように、留学して、非常に貧しい国々の存在を知って、そこでまた世界にはこういう生活があるんだっていうことを知ると。そういう意味では様々なそういうチャンスというのは、私たちの時代よりもあるのかもしれないですね。

関口 先生の話を伺ってると、若い人たちにとっては、いまいろんなこと学んでて、将来も大丈夫じゃないなんて気になってくるけど。大丈夫なのかな。

田中 心配したらキリがなく。心配ですけど(笑)。

関口 それはあります。

田中 私の立場としては、大丈夫かなぁっていうよりも、とにかく、ひとりひとりについては生き延びるような力をつけなければならない立場なんです。

関口 つけてもらわなきゃいけない。それはわかります。

君和田 さっき申し上げた自己肯定感っていう。あれだけ、僕気になるんですよ。あれが、すごく下がってきてしまっているっていうのがね。あれ、どこの調査だったですかね。

田中 OECD諸国を対象にした。。

君和田 その中で、日本はものすごく下位ですよね。

田中 低いです。中国よりずっと低いです。アメリカよりも低い。

君和田 それは、我々大人が悪いのかっていう。私、社会から期待されてないかもしれないっていうふうに思わせるものを、我々が作ってきちゃったのかもしれない。

田中 それはそうだと思います。やっぱりあの、競争社会を作ってきたというのがあります。その中で、突出しないと、あるいは成績が良くないと、あなたの将来はないよみたいなことを言われてきたわけで。

君和田 なるほど

田中 そこを変えなければならないし、そこを変えなければならないと思っている意識を持ってる人が、いま増えている。

君和田 それは、大人の側にも増えてます。

関口 それは、どうしようと。その欠点がある、その突出しろとか、生存競争に勝たなければとか、というその価値観をどう変えていくんですか?

田中 それがダイバーシティっていう問題で。誰かに勝つことによって自分の価値が上がるのではなく、基本的にあなた自身が持っているその力だとか、個性だとか、それを伸ばしていくことで、あなたはちゃんとやっていけるんですよというメッセージを出し続ける。これは言葉だけじゃダメですから、教育の中身もそういうことにしていくとか、それから、そういうことを顕彰っていうんでしょうか、いい文章書いたら賞を与えるとか、そういうのを大学ってすごくいっぱい作ってるんですね。

関口 ひとりひとりの自立というか。だから、ナンバーワンよりオンリーワンという歌が昔流行りましたが。

田中 それに近いです。それを目指してる。教育機関はそれを目指しているという。非常に難しいですけど。

関口 難しいでしょう?

続く

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