18. この時代の変わり目に

8月18日

「いろんな条件のなかで、それでも私はこれを選ぶっていうこと、それが自由ですよね」「自由のなかにね、無関心ってあるんですよ。他人から無関心でいてもらえる」

出演

関口宏(自称テレビ屋)
君和田正夫(独立メディア塾塾長・元朝日新聞・元テレビ朝日社長)
田中優子(法政大学総長・江戸文化研究)

前回

関口 それでは農業の話をもうちょっと続けたいと思いますが。なにか。どうすれば、農業人口が増え、食料自給率がもっと上がるかと。なんかいいアイディアありませんか?

君和田 むかし、農業やりたいなと思ったことがあって、キケロってね、昔の。彼が言った言葉で、「あらゆる職業のなかで、最も生産的で、最も楽しくて、最も自由人に向いてるのは、農業である」という言葉があるんですよ。それを読んだときにね、私みたいに勝手な人間はね、農業が向いてんのかなって、思ったことがあって(笑)。

関口 でも、それは農業は農業で、大変な仕事ですからね。

田中 実際に、内山節さんていう方が、哲学者がいらっしゃいますよね。あの方は、ずっと農業をやってるんですが、あの方が書いてるエッセイのなかで、自由ってことが書いてあるんですよ。新しい自由という文章を新聞に載せていたことがあって、それはいま、ご自分がいらっしゃるところにも、若い人たちが入ってきてるんですって。それは、やはり農業をやりたいと。

関口 うん。

田中 で、農業をやり始めると、全部自分で自分のことを決めなければならないとか、そこは自由なんだけれども、いわゆる私たちが都会で考える自由とはちょっと違うんですよね。自然との関係があるし、それからコミュニティーのなかでやっていかないと、農業って成り立たないので、それで助け合いも必要なんですよ。で、そうするとそういう人との関係、自然との関係のなかでこそ、自由というものがあるのだという新しい発見がある。そういうことを発見していくことによって、若い人たちも新しい自由に気がついて、農業を始められるようになっている。という、そういう話を書いてらっしゃる。

関口 それは羨ましい。私たちなんか、間違ちゃった自由のなかで生きてきちゃいましたよ。多分。

田中 私も、ちょっと、そういう気がしてるんです。

関口 ほお。

田中 我々はなにかね、自由感を間違えている。

関口 そんな気がしますね。なんなんでしょうね、それは。やはり都会の便利さを追求するあまり。。

田中 つまり、なんでもやれるとかって思っちゃう自由ですよね。ホントは、自由ってそんなふうなもんじゃなくて、そのいろいろな社会的な規制もあって、で、自分の身体的な規制もあって、いろんな条件のなかで、それでも私はこれを選ぶっていうこと、それが自由ですよね

関口 そうですな。それを私たちの場合は、なにか人から言われ、世の中で教えられた価値観のなかで、生きてきちゃったから、自分で選んでないんですよね。

田中 あっ。そうなんですよね。

関口 多分。なんか与えられたものなかで、どうやって生きていこうかなってこうやってた気がしちゃうんですよ。

君和田 関口さんの場合若干違うかもしれないけど、あるいは田中先生もそうかもしれないけど、自由のなかにね、無関心ってあるんですよ。他人から無関心でいてもらえる

関口 それも、自由と言うのかな。

君和田 うん。だから都会がね、いくと自由だっていうのは、便利だっていうのもあるんだけど、都会はお互いに無関心じゃないですか。この自由って大きいと思うんですよ。農業っていったら、さっきの集団で買い取ったり、いろんなことしなきゃいけないでしょ。だから、そういう意味では自由ではないんですよ。都会の自由っていうのは、そういう意味では、仮面の自由っていうと変なんだけど。。

関口 仮面ですよ。これは嘘だったって、だって僕はこの年になって。僕はね、若いときはね、都会でひとりで住んで、好き放題してることが好きだったんだけど。それは違うなと、この歳まで、気がつかなかった(笑)。やっぱり人と人とのつながりっていうのは、煩わしい面もあるけど、それがないと、とんでもないことになるんですよね。

田中 そう。それがないと本当には自由じゃないんですよね。

関口 でも、煩わしいというものを、全部避けて都会で生きていることが自由と思ったけど、違うんですね。

 

これまでの時代・これからの時代。現代への憂と期待を、大人たちが語り合う。「この時代の変わり目に」いかがでしたでしょうか?戦後・安保・高度成長を駆け抜けた世代のネット鼎談。この夏、毎日配信しています。カレンダーの日付をクリックすると、その日配信された動画をご覧いただけます。



2017年10月
« 9月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

 

(制作)「日めくりテレビ」