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ありがとう『サンデーモーニング』⑤

テレビ屋 関口 宏

 3月に入り、31日・日曜日(私の『サンデーモーニング』最後の放送日)までの、カウントダウンが始まりました。思えば36年6ヶ月。時代も変わり、テレビの存在も変わりました。
 テレビは、ネット、SNS、スマホ等の台頭が大きく影響して、メディアトップの座が揺らいでいます。

 1953年(昭和28年)に放送を開始したテレビは、やがて速報性において新聞を凌ぎ、映像の強みによってラジオにもまさり、日本の経済成長と共に大きく成長しました。放送開始からほぼ10年後、私もテレビに仕事の場を戴いたのですが、時には「テレビとは何ぞや」を私なりに考えてきました。

 その先駆け的存在が1970年、テレビの可能性を追求して、TBSから独立。「テレビマンユニオン」という製作プロダクション立ち上げた先輩達でした。

 やがてその中心的メンバー、萩本、村木、今野の三氏が唱えた書籍「お前はただの現在にすぎない」の一言に衝撃を受けました。もちろんテレビというものの本質を突いた名言ではあるのですが、どこか私自身のことでもあるような気がして、以後、この言葉を自分に投げかけることが多くなりました。



 しかし「ただの現在にすぎない」とは、テレビを軽く見ているようで、実はテレビの究極の特徴を言い当てていると思われるのです。
 テレビはほぼ70年の歴史の中で、VTRや編集技術などを取り込んで表現方法を広げ、多種多様なコンテンツ・番組を作り上げてきました。
 しかし「テレビの本質・最大の特徴」となりますと、私の持論の域での話になるかもしれませんが、情報の発信者(テレビ局など)と、情報の受信者(視聴者)が『今』という『現在』を共有できるメディアなのです。ですからテレビの強みを発揮できる場は、『今』であり『生』であり『現在』なのだと思われるのです。

 では実際の番組ではどうか。やはりスポーツ中継は『生』が魅力的ですし、ニュース・情報番組も『生』が相応しいと思います。そして突然起こる自然災害に対しても、テレビからの『生』の情報が強みを発揮するのです。

 この説を裏付ける出来事が先日も起こりました。1月28日・日曜日。『サンデーモーニング』放送中に地震が起こったのです。縦に変な揺れ方をしたと思っているうちに、ドスン!と大きく沈み込むような揺れが来ました。一瞬、スタジオは凍りついたような雰囲気になり、放送中だったスポーツコーナーを止めました。


気象庁:震度データベース検索ページより

『サンデーモーニング』のスタジオは赤坂局舎の4階。スタジオには緊急時の情報表示板が常設されており、それによると震度は「3」となっており、カメラに向かってその旨お伝えしました。そして報道局から速報が入り、「震源は東京湾。震度4の所もありますが津波の心配はない」とお伝えするうちに事態も落ち着き、番組は通常通りに戻ったのです。
 そして放送終了後、視聴率の推移を表すグラフ(今では視聴率も、放送とほとんど同時に分かるようになっています)を見てみますと、地震が起きた9時少し前から急角度にグラフが上がっていました。(やっぱり、これがテレビだ)と改めて感じた次第です。

 しかしこのテレビを含め、メディア全体に時代の変化が押し寄せています。
AI(人工知能)、フェイク(偽情報)、ヘイト(中傷言動)等々がメデイアに大きな影響を与える時代になり、多チャンネル、多メディアは「マスコミ」をバラバラにして行くのではないかと心配になります。
 つまり情報源が皆まちまちになって、共通の話題が少なくなり、「マスコミ」ではない「ミニコミ」だらけの世の中になりかけているように思えるのです。
学校や職場で、昨日のテレビ番組や新聞記事が共通の話題になることも少なくなったような気がします。

 それでもテレビはなくならないと信じています。しかも、フェイクらしき情報の真偽を、テレビに求める動きが出て来るかもしれません。
テレビ報道には「ウラをとる」と言われる、情報の真偽を確かめる作業があるからで、時にはミスを犯すこともありますが、この「ウラをとる」作業を強化していって欲しいと願っています。
 そして『サンデーモーニング』も、できる限り長く続くことを祈りながら、世代交代することに致します。

長きに渡りご覧いただいた視聴者の皆様、支えて下さったスポンサー、TBS、そして共に苦労しながら番組を作ってくれた全スタッフ、出演者の皆様。
  本当に、本当にありがとうございました。

テレビ屋  関口 宏

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