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ジャーナリストの今

テレビ屋 関口 宏

 「サンデーモーニング」でお世話になっている安田菜津紀さんと谷口真由美さんがメディアNPO「Dialogue for People」を立ち上げると聞き、シンポジウムに参加してみました。このお二人に加え、フォトジャーナリスト・佐藤慧さん、写真家・映画監督・石川梵さん、NHK出身の堀潤さん、ミュージシャンのSUGIZOさんらが繰り広げたトークショウは、安田菜津紀さんの見事な進行もあって、肩のこらない楽しい会になりました。そして私にはどこか心強い印象が残りました。
 
 と申しますのは、最近若いジャーナリストの成り手が減少していて、新聞・テレビをはじめとするメディアが苦労していると聞かされていたこともあり、だからこうした人達の頑張りが広まって行くことに期待する思いが私の中にあったのでしょう。
 
 私はジャーナリストではありませんし、これといった専門分野も持たない単なるテレビ屋です。しかし日々起こる世界の出来事には人並みの関心はあって、その情報をもたらしてくれるジャーナリストには常々感謝している一人です。こうした人達がいてくれることにより、様々なことを知ることができ、一つ一つの出来事を考える機会を得ることができるのです。
 
 しかし何故ジャーナリストの成り手が減少しているのでしょうか。詳しいことは私にはわかりませんが、若い人達には、地味で面倒な仕事に感じられるのでしょうか。それとも世の中の出来事に無関心な人が増えているのでしょうか。どちらにしてもこの傾向は看過できるものではありません。

 
 ちなみに報道には大きく分けて、「発表報道」と「調査報道」という言い方があります。「発表報道」とは、政府や警察など国民に大きな影響力を持つ機関や、時には企業から出される情報を国民に知らせるものですが、しっかりした目と耳で取材しないと、機械的な作業に陥ってしまい、肝心なことが抜けてしまったりするといいます。ここにも優れたジャーナリズム精神が必要なのでしょう。
 
 そしてもう一方の「調査報道」。ベテランのジャーナリストはこれこそ報道の真髄と言います。つまり世の中の様々な出来事の中から、まだ誰も問題視していないテーマを見つけ出し、独自の調査・研究・取材を通して世に問う報道のことです。数多くのスクープなるものは、ここから生まれました。しかしこれこそ地味な作業の連続です。誰もが取材に応じてくれるわけでもなし、時には危険な紛争地に入り込み、生命を落としかねない領域も含まれます。
 
 ですから無責任にジャーナリストの道を勧める訳にもいきません。しかしいつの世にも、どんなに時代が変わろうとも、絶対必要な仕事なのです。ジャーナリストがいてくれるおかげで、判ることがあり気がつけることが沢山あるのです。
 
 この「独立メディア塾」も実は根底には若きジャーナリストを育てるという目的があるのですが、大手のメデイア同様、苦労しています。というよりも大手が苦労しているのですから、この小さなサイトが苦労するのは当たり前の話なのでしょう。

NPO:Dialogue for People


 そんな中での「Dialogue for People」の立ち上げ。頑張って欲しいと思います。それでなくとも「最近の日本のジャーナリズムは萎縮している」と海外から指摘されている現状。何が委縮させているのか原因は複雑ですが、打開策は「草の根運動」なのかもしれません。
 
     
      テレビ屋  関口 宏

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