『 認知症 』

テレビ屋 関口 宏
数々のデータから、近未来を予測する番組(BS-TBS 日曜 昼12時 「この先どうなる」)で見つけたあるデータに、不思議な共感を覚えました。
それは、現役のお医者さん達に聞いたアンケート。「あなたが将来、最も罹りたくない病名は何ですか?」・・・・・・。その答えの圧倒的第一位が、「認知症」だったのです。
「お医者さん達も人間なんだなぁ」、言葉にするとこんな感じでしょうか。
もちろん私も、一番避けたい病気は「認知症」。その根底には、「ひとに迷惑をかけたくない」という想いがあるものと思われます。
なのに残念ながら、また私の知人に、「認知症」の宣告を受けた人が出ました。今年82歳になる仲間で、ついこの前まで、しっかりしていたと思っていたのですが・・・・・。
これで私の周辺では、3人目の「認知症患者」になりました。うち2人は、家族の顔も認識できない重度の症状。ご家族の苦労も大変だと思われます。
他人事ではありません。私だって何時そうなるかは分からないのです。82歳にもなりますと、そうした心配が通奏低音のように、常に響き続けています。
番組放送資料:出典「厚生労働省ホームページ」
考えてみますと、「認知症」が大きな社会問題になってきたのは、ここ20年程のこと。それは高齢化社会、人生100年時代と言われるようになったことと無縁ではないでしょう。「長生き」には、「認知症」のリスクが伴うことが、漸く表面化してきたと言っても過言ではないような気がします。
そして冒頭でご紹介したお医者さん達のアンケート。 一番に「認知症」と答えた理由が、もうひとつあるのではないかと私は感じています。それはお医者さん達ですら、まだ「認知症」の医学的研究が進んでおらず、いざとなった時の治療法が確立されていない点を、心配されての事ではと思われるのです。
聞きかじりになりますが、今「認知症」について解かっていることは、どうやら「脳」の「海馬」と呼ばれる辺りの問題らしいこと。でも研究はまだ、50%程度しか進んでいないそうです。
しかし高齢化社会が続く限り、研究が急がれます。世界的にみても日本は高齢化社会の先進国であり、世界が日本を見ています。 それは医療の問題ばかりではありません。「認知症」をどのように捉える「社会作り」をしてゆくのか、という事が問われていると、介護の専門家は指摘しています。つまり、軽度から重度まで増え続ける「認知症」の患者さんと、みんなが共に暮らせる社会とはどのようなものなのか。それは大袈裟ではなく、人類初めての経験になるだろうと言われています。
そしてその一つのヒントが、「ニューロダイバシティー」(神経多様性)だと教わりました。 つまり、脳や神経機能の多様性を認め、その違いを尊重し、社会で活かしてゆく考え方なのですが、果たして人類初めての経験は良き方向に向かうのか、その時代はもう始まっているように思われます。
テレビ屋 関口 宏
それは、現役のお医者さん達に聞いたアンケート。「あなたが将来、最も罹りたくない病名は何ですか?」・・・・・・。その答えの圧倒的第一位が、「認知症」だったのです。
「お医者さん達も人間なんだなぁ」、言葉にするとこんな感じでしょうか。
もちろん私も、一番避けたい病気は「認知症」。その根底には、「ひとに迷惑をかけたくない」という想いがあるものと思われます。
なのに残念ながら、また私の知人に、「認知症」の宣告を受けた人が出ました。今年82歳になる仲間で、ついこの前まで、しっかりしていたと思っていたのですが・・・・・。
これで私の周辺では、3人目の「認知症患者」になりました。うち2人は、家族の顔も認識できない重度の症状。ご家族の苦労も大変だと思われます。
他人事ではありません。私だって何時そうなるかは分からないのです。82歳にもなりますと、そうした心配が通奏低音のように、常に響き続けています。

番組放送資料:出典「厚生労働省ホームページ」
考えてみますと、「認知症」が大きな社会問題になってきたのは、ここ20年程のこと。それは高齢化社会、人生100年時代と言われるようになったことと無縁ではないでしょう。「長生き」には、「認知症」のリスクが伴うことが、漸く表面化してきたと言っても過言ではないような気がします。
そして冒頭でご紹介したお医者さん達のアンケート。 一番に「認知症」と答えた理由が、もうひとつあるのではないかと私は感じています。それはお医者さん達ですら、まだ「認知症」の医学的研究が進んでおらず、いざとなった時の治療法が確立されていない点を、心配されての事ではと思われるのです。

聞きかじりになりますが、今「認知症」について解かっていることは、どうやら「脳」の「海馬」と呼ばれる辺りの問題らしいこと。でも研究はまだ、50%程度しか進んでいないそうです。
しかし高齢化社会が続く限り、研究が急がれます。世界的にみても日本は高齢化社会の先進国であり、世界が日本を見ています。 それは医療の問題ばかりではありません。「認知症」をどのように捉える「社会作り」をしてゆくのか、という事が問われていると、介護の専門家は指摘しています。つまり、軽度から重度まで増え続ける「認知症」の患者さんと、みんなが共に暮らせる社会とはどのようなものなのか。それは大袈裟ではなく、人類初めての経験になるだろうと言われています。
そしてその一つのヒントが、「ニューロダイバシティー」(神経多様性)だと教わりました。 つまり、脳や神経機能の多様性を認め、その違いを尊重し、社会で活かしてゆく考え方なのですが、果たして人類初めての経験は良き方向に向かうのか、その時代はもう始まっているように思われます。
テレビ屋 関口 宏