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最終章・アフリカ

テレビ屋 関口 宏

 先月このコラム欄で、映画『MINAMATA』のモデルになったアメリカ人フォトジャーナリスト、ユージン・スミス氏(1918~1978)をご紹介したのですが、その後、日本の戦場フォトグラファー、青木弘氏に出会いました。40代半ばの若者ですが、アフガニスタン、パレスチナ、イラク、チェチェン等々の紛争地、困窮地を飛び回りながら、今はアフリカを伝えたい気持ちが強まり、「中央アフリカ」の取材を続けています。

 「何故アフリカなのか」の私の問いに、「何か……生命の故郷のような気がする」と答えました。確かに人類はアフリカから始まったとする説は有名ですが、彼にはその理屈以上のアフリカに対する熱いものを感じました。

 日本ではほとんど伝わってこない「中央アフリカ」という国の事情。内戦状態が長い間続いていて、その原因は種族、宗教の違いもありますが、大きい原因はダイヤモンドだとか。この世で一番美しいとされるダイヤモンドが、人間を醜い存在に変えていくと表現する青木氏の皮肉に納得。アフリカの人が持つ人間としての純粋さ美しさに、先進国では失われてしまった尊いものを感じると言う青木氏。しかしひとたび紛争が始まれば、それが醜さに変わってしまう理不尽さに戸惑うのだそうです。

 それでも青木氏は、アフリカの捨てがたい魅力を表現した『juheisen』(樹平線)という作品集を発表しています。


 21世紀はアフリカの世紀だとも言われています。19世紀、欧米が先行する形で始まった世界の近代化は、アジア、インドに続き、アフリカで最終章を迎えるとされるものですが、果たしてどんな最終章になるのか。

 今現在、50以上の国々がひしめき合い、先行した欧州各国の植民地化の後遺症に振り回され、多民族、多宗教は複雑化してアフリカ全体の近代化はまだまだ見えてきません。

 そこに今、中国が乗り出してきていることに青木氏は警戒感を示します。少し前まではアフリカのあちこちに、日本の援助を喜ぶ姿が見られたそうですが、いつのまにか中国に取って代わられ、日本の存在が薄れてしまったそうです。
そしてその中国の狙いが何なのか。一帯一路、海洋進出、さらにその先の世界制覇だとするなら、危険極まりないと危惧するのです。

 まだまだ貧しい国が多いアフリカ。それでも国連に加盟している国には、対等の一票が与えられているわけですから、国連決議を要する案件にはアフリカの一票々々が大きくものを言うことになります。

 そしてその中国の動きを牽制しようとするのか、同調しようとするのか、最近ロシアの影もチラつき始めたそうです。大国の思惑に振り回されてきたアフリカが、大国の傘から抜け出し、自立した近代化を実現できるか。世界近代化最終章はいつ見られるのでしょうか。

 青木氏がボソッと漏らしました。「日本だって、明治維新があっての近代化だったんですよね。あそこにアフリカのヒントはないのかな」。
あまりの大きな比較に、私としては何ともお答えのしようがなかったのですが、青木氏の眼はキラキラ輝いていました。

 テレビ屋  関口 宏


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詳細はこちら > 戦場フォトグラファー青木弘氏に聞く「アフリカ」
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