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『 オーバーツーリズム 』

テレビ屋 関口 宏

 梅雨入り直前、知人を訪ねて久しぶりに鎌倉へ行ってきました。
若い頃にはよく海を見に、この辺りをドライブしたものですが、免許証を返納してしまった今では、誰かに連れて行ってもらわなければならない寂しさはあるものの、やはり青春の記憶が呼び覚まされる何かがそこにはありました。

 その日は天気も良く、車の窓から吹き込むカラッとした潮風に、昔懐かしいメロディーが何曲も思い出されました。
 ♫ 夏の日を浴びて 潮風に揺れる花々よ ♬(石原裕次郎「狂った果実」)を鼻歌で想い出している時でした。急に大勢の人が群がる光景が目に飛び込んで来たのです。咄嗟に「ここだね?」と運転してくれている若いマネージャーに聞きました。「ここです!」とマネージャー。つまり今話題の外国人観光客が集まる「江の電」(江ノ島電鉄)『鎌倉高校前駅』近くの踏切。
 何でも「スラムダンク」という作品で有名になった場所で、外国人観光客が押し寄せるようになり、「オーバーツーリズム」(過度な観光客の増加による弊害)の象徴とされている所です。


休日の鎌倉高校前駅の混雑と踏切での撮影風景

 やや広めの道が「江の電」の踏切を越えると海岸を走る車道とT字路になる何でもない住宅街の道。(さぞや、この辺にお住いの方は迷惑されているのでは)とお察ししました。

 そしてタイミングよく、この春スタートしたBS-TBS『この先どうなる⁉』(日曜日・昼・12時~)で「オーバーツーリズム」を企画中でした。
ここ最近、急激に増えた感じのする外国人観光客。「国」も「観光立国」などと言い出して、それこそ「この先」の対策、そして不安が広がるテーマではあるのです。

 外国人観光客の数は、「コロナ」の影響で一時減少したものの、今は「円安」の影響で、また増加傾向になっているそうです。最近では「富士山の見えるコンビニ」や「路上でのアルコール飲み」が問題となりましたが、京都や東京の観光名所でもトラブルが絶えないそうです。

 そこで番組では様々なデータを取り寄せてみました。するとそこから見えて来たものは、狭いエリアに観光客が集中している現状でした。そして数の上では、世界的に有名な観光地、例えばローマ、パリ、ベニスあたりと比べても、それほど驚くような数にはなっていないないことが分かりました。

 急激に増加したことに日本国民が戸惑っている状態で、観光立国としての様々な条件がまだ整っていない、つまり多くの観光客を受け入れる体制が出来ていないという結論になりそうです。では観光立国を目指すには何が必要なのか。『この先どうなる!?』を考えねばなりません。

 ちなみに「円安」は日本人にも影響していて、海外に出るよりも国内旅行の方が・・・と考える日本人観光客の数が、「オーバーツーリズム」を裏打ちしているとの見方もあるのだそうです。

 歴史的にも、また日本人の感性にも、世界に誇れるものがたくさんあると思われる日本に、「是非行きたい」と思う外国人が増える以上、それなりの体制を整えなければならない時代のようです。


尚、この『オーバーツーリズム』は、7月21日(日)昼12時~ 放送予定です。

     テレビ屋  関口 宏

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