「あの日のこと」 vol.4 【目次】
 松尾 英里子 / 白鳥 美子
誰にでも、すごく頑張ってきた人生がある
“Here with you”――がんを経験している人やその家族、友人や関係者すべての戸惑いや不安をやさしく温かく受け止める場所がある。2016年10月にオープンしたマギーズ東京は、「がんを患っていたとしても、患者ではなく一人の人間でいられる場所」をつくるという理念から1996年に英国・エジンバラで始まったマギーズセンターの、世界第20号。共同代表理事の一人として、穏やかな笑顔で訪れる人々を迎え入れているのが25年以上の訪問看護経験を持つ秋山正子(あきやま・まさこ)さんだ。これまでのどのような経験、出会い、どんな思いが秋山さんを“今、この場所”に運んできたのか。いくつかのキーワードから、その記憶をひも解いてみた。
(取材・構成・文/松尾英里子・白鳥美子)
マギーズ東京では、日々、たくさんの人の訪れを受けている。がんを患い、心身ともに弱り切った人もいる。 「その人のエネルギーは、今は落ちているかもしれません。だけど、誰にでも、若くても高齢でも、すごく頑張ってきたそれまでの人生があるはずだから。その、自分が輝いていた時を思い出して、自分自身の力を取り戻してもらえたら」 そう心から願うマギーズのスタッフたちは、誰もがリラックスできる雰囲気をつくり、温かな場所を整えて人々を迎え入れている。 「一人ひとりの人生に、敬意を払う。そのことを大切にしています」
●秋山正子さん プロフィール
1950年秋田市生まれ。聖路加看護大学卒業。看護師・保健師・助産師。
(株)ケアーズ代表取締役・白十字訪問看護ステーション統括所長
特定非営利活動法人白十字在宅ボランティアの会理事長・暮らしの保健室室長
第22期東京都社会福祉審議会委員・順天堂医療看護学研究科大学院非常勤講師
第47回フローレンスナイチンゲール記章受章
2011年暮らしの保健室、2016年マギーズ東京設立。
マギーズ東京ホームページhttps://maggiestokyo.org/