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書くのも、読むのも、本が好き 6/6

  松尾 英里子 / 白鳥 美子

これまでに73冊の本を出版してきた木久扇師匠は、本を読むのも大好きだ。「家の中、そこら中に本が置いてある。トイレも本だらけ」
ちなみに今読んでいるのは、と取り出したのは4冊。並行して何冊も読むのだという。

『あらしのよるに』(きむらゆういち・作 あべ弘士・絵)
『人間晩年図巻2000-03年』(関川夏央・著)
『安倍晋三を葬ったのは誰か』(髙山正之・著)
『ジェイソン流お金の増やし方』(厚切りジェイソン・著)

読みたい本は、本屋さんに行って棚を見て、「勘で」選ぶ。時間が空いたら、何か読まずにはいられない。
「新聞の折り込みチラシも、隅から隅まで読みます」
本好きの系譜なのだろうか、高校生のお孫さんコタ君が、まもなく初めての著書を出版する。
『コタ、お前は落語家になりたいの?』(豊田寿太郎・著)


『コタ、お前は落語家になりたいの?』今人舎 4月新刊

”じいじ”である木久扇さんに、毎朝希望を聞いて丁寧にお茶を淹れてくれたり鰹節を削ってくれたりする、イマドキの高校生らしからぬコタ君は、すでに落語を5つくらいは覚えている。
「ちょっと変わった子で、すごく面白いんですよ」
今読んでいるうちの一冊、お金の増やし方の本は、「私は今さら金持ちになっても仕方ないけど、コタに教えてやろうと思って」買ったそうだ。
一方、木久扇さんの最新刊は『バカの遺言』(扶桑社新書)。
”お赤飯にはごま塩、人生にはバカを振りかけると、格段においしくなる”と、木久扇さんは積極的に「バカ」になることをすすめている。


木久扇さんの最新刊は『バカの遺言』(扶桑社新書)

***

10代後半から、清水崑さん、三代目桂三木助師匠、八代目林家正蔵師匠と次々に「大物」の懐に飛び込み、愛され、可愛がられてきた木久扇さん。もっとさかのぼれば、「絵」と引き換えに「ギャラ」をもらっていた幼少時代も近所の人たちの心をギュッとつかんでいたに違いない。ついには、元総理・田中角栄氏の心まで解いたエピソードには心の底から驚いた。
「まさかそんな相手とっていう人と仲良くなるのが得意」だと笑う木久扇さんは、いつか、異星人が円盤に乗ってやってきたら、真っ先に交流してみたいそうだ。
底抜けの明るさを支える「バカ」をめぐる哲学の深さと面白さ。師匠のバトンを受け取るのは、笑点の後任メンバーだけではなく、落語家になってからの63年、「与太郎」の言動にテレビの前で笑い転げた私たちみんななのかもしれない。


木久扇さん3世代・孫コタ君(中央)・2代目木久蔵さん(右)




●林家木久扇さん プロフィール

昭和12年10月19日
出身地:東京日本橋 実家は雑貨卸商
時代に呼応するいつも新鮮な話芸をもち、そのテリトリーは日本の食文化ラーメンから捕鯨再開のための鯨の食文化を守る会。また日本医科大リウマチ科の吉野槇一教授と組み 「リウマチの痛み、落語の笑いで消えた 」で健康ブームの先がけとなり、いつも新鮮な明るい話題を提供している。画技の方は日本橋丸善において開催された(林家木久蔵錦絵展)など、一流デパートのギャラリー展も20ヶ所におよぶ。

経歴
昭和31年 東京都立中野工業高等学校 食品化学科卒業 森永乳業㈱新宿工場就職。同年8月に漫画家清水崑氏門下へ入門
昭和35年 三代目 桂三木助門下へ入門。芸名 桂木久男で見習い
昭和36年 桂三木助没後、林家正蔵門下へと移り、前座となり芸名 林家木久蔵となる。二つ目昇進
昭和44年 日本テレビ「笑点」のレギュラーメンバーとなる
昭和48年 林家木久蔵のまま真打ち昇進
平成4年 (社)落語協会理事に就任
令和元年 日本テレビ「笑点」回答者レギュラー満50周年を迎える
令和2年 芸能生活60周年を迎える
令和5年 日本テレビ「笑点」大喜利メンバーを令和3月をもっての勇退を発表





(左)林家木久扇さん(左)白鳥美子

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