ゲスト様

2020年1月号

花は桜木、散り際が勝負

塾長 君和田 正夫

 オリンピックの後、日本はどうなるのか、という議論が活発です。
 2019年の漢字に選ばれたのは「令」。流行語大賞になったのは「ワンチーム」。なにか新しい時代の到来を暗示しているように思えます。 
 読者が投稿する朝日新聞の「かたえくぼ」欄に、こんな一作が載っていました。(2019年12月14日朝刊)
 
 『今年の漢字、令』
  桜だろう… 
   ――寅さん (恵庭・トンケイ)
             
 なるほど。「桜を見る会」は安倍政権を揺るがせています。「花は桜木 人は武士」なんて言いますが、桜の下に集まった胡散臭い人たち。質問に答えず逃げまくる安倍さん。いずれも「武士」ではありません。安倍さんは「口説の徒」でしょうか。それを7年間にわたり支持し、許してきた我ら国民。さすがに「桜を見る会」の無責任な姿に支持率も下がり始め、末路が少し見えてきたようです。
 
つかの間の「ワンチーム」
 
 政治がガタつく中、ラグビーワールドカップの日本代表は見事でした。ユニフォームのエンブレムには満開の桜が3つ。「ブレーブ・ブロッサムズ(勇敢な桜の戦士)」は日本中を沸かせました。テレビ視聴率はスコットランド戦で39.2%、試合終了時は53.7%(関東地区)。まさに興奮のるつぼだった、と言っていいでしょう。「ワンチーム」はつかの間の一体感を日本人にもたらしたのです。
 ところで「かたえくぼ」の愛称「寅さん」を忘れるわけにいきません。寅さんの妹、さくらへの愛情がこめられているではありませんか。映画「男はつらいよ」シリーズは昨年が誕生50周年。50作目の「お帰り寅さん」が上映されました。「桜」に人情の香りを添えた形です。やはり昨年の漢字は「桜」でしょうね。
 
ヘイトスピーチと国際化
 
 「つかの間の一体感」と書きました。国際化する日本にとって「一体感」は避けて通れないはずです。いずれ外国人労働者に頼らなければいけない事態が迫っています。それなのに、現実から目をそらす日本。先進国から脱落しようとしているのに、先進国気取りを続ける日本。格差が拡大しているのに、自分たちは中流だと錯誤が蔓延する日本。男と女の格差を当然と考える日本の政治家…。
 だから「ワンチーム」のインパクトは大きかったのです。うすうす感じていた虚構・欺瞞を一挙に吹き飛ばしてくれたベスト8だったのです。しかし興奮が冷めると、再び普段の日本が見えてきました。
 それを裏付けたのは、12月12日、川崎市が作った条例でした。ヘイトスピーチ(憎悪表現)には刑事罰、と決めた川崎市では在日コリアンへのヘイトスピーチが繰り返されているそうです。言葉の暴力に言葉ではなく条例で対応せざるをえない。この国には一体感など無い、と確信しました。
 
 ヘイトスピーチをするあなた方はラグビーを見ながら「ワンチーム」を実感しませんでしたか。
 ラグビーの日本代表は国際的な顔ぶれが集まりました。ニュージーランド出身のリーチマイケルさんを主将に、31人の代表は半分は外国出身者です。出身国はニュージーランド、トンガ、南ア、韓国、サモアと多彩です。日本国籍を取った人もいます。あなた方がヘイトする韓国出身者もおります。
 オリンピックを機に「ワンチーム」を揺るぎないものにしてもらいたいと願います。
 ところで安倍さん、足元に早くも桜の花が散り始めていませんか。桜は散り際が勝負です。
                   

君和田 正夫

塾長

1941年(昭和16年)生まれ。早稲田大学卒。
1964年、朝日新聞社入社、経済部記者などを経て2005年(平成17年)テレビ朝日に。
退任後「独立メディア塾」の共同代表。

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