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メディア救済策の日欧比較

塾長  君和田 正夫

 驚くようなメディア救済策がヨーロッパから持たされています。一つは英国を中心に取材網を張りめぐらせている、われらが小林恭子さんからのものです。1927年、現在の名称「英国放送協会」(British Broadcasting Corporation)が公共放送として誕生しました。その料金引き上げをめぐる動きです。小林さんによる情報です。詳しくは今月の「英国事情」をご覧ください。

 長年、ダントツの位置を守ってきたBBCが揺らいでいるようです。長年、日本のNHKの放送受信料に相当する、「テレビライセンス料」で賄われてきました。その歴史の中で、民営化すべきだ、内容が偏っている、などの議論が繰り返されてきました。
 BBCの受信料は、カラー放送の場合、年に159ポンド(約2万4500円)で、「BBCの番組をあまり見ていないのに、払う必要はあるの?」と思う人が出てきても不思議はなかった。日本と似ています。
 英国はどうなる、小林さんは英国社会が貧しくなってはいけない、と憂えています。
 次はスイスからの報道です。
 メディアへの助成金は増やすべきか?スイスで2月13日に国民投票が行われました。以下、swiss info(注)による記事と地元在住の知人の情報です。

 「メディア助成金」は否決

 広告収入の大幅減、購読者数の減少、世界的なインターネット大手との競争――。どこの国でも起きていることです。厳しさが増すメディア業界を支援すべく、スイス連邦政府は国内メディアへの助成金の増額や、直接助成金を新たに導入する方針を掲げています。その是非を巡る国民投票が2月13日です。知人によると、「メディア助成金」案は54.6%の反対で否決されたそうです。
 スイスのメディア事情に詳しくありませんが、メディアが公的支援を受けること自体に問題を抱えていそうです。


(出版社のタメディアは昨年4月、ベルンの2大日刊紙の編集局統合を発表。
20人分の記者職が削減されることになった。
解雇対象者たちはクラウドファンディングで資金を集め、オンラインメディア「ハウプトシュタット」を立ち上げた。
写真はベルンの日刊紙ブントとベルナー・ツァイトゥングの編集局前で行われた抗議活動 Keystone / Marcel Bieri)

 年間190億円の助成

 連邦政府が打ち出したのは新聞、オンラインメディア、地域のラジオ・テレビ放送局に新たに年間1億5千万フラン(約190億円)を助成するという内容です。これに対し、右派政治家や出版社が反対するレファレンダム(国民の直接投票)を提起。2月13日の国民投票で是非が問われることになりました。
 swissinfo.chが属するスイス公共放送協会(SRG SSR)はラジオとテレビの受信料で運営しているため、今回のメディア支援関連法案の影響は受けません。

 70の新聞が消滅

 インターネットが登場し巨大IT企業が急成長したことで、スイスのメディア業界も激変の波に洗われています。広告だけでなくニュースもネットに流れ、新聞、雑誌、民放ラジオ局の広告収入はこの20年間で約4割落ち込みました。2003年以降に約70の新聞が消滅しました。
 検討されているメディア支援関連法案では、年間の助成金を1億5100万フラン増の合計2億8700万フランに引き上げる。内訳は以下の通りです。(1スイスフラン124円)
 政府は現在、購読紙の郵送料を一部負担しています。法案ではこうした間接的支援を現行の5千万フランから、7千万フラン増額し年間1億2千万フランとする。資金は連邦の現行予算から拠出する。
 また、地方のラジオ・テレビ放送局に一部配分しているSRG SSRのラジオ・テレビ受信料について、現行の年間8100万フランから1億900万フランに引き上げる。
 この法案に対する最大の反対勢力は保守系右派の国民党です。連邦議会での投票では、国民党議員の全員が反対しました。
 反対派が問題視するのは、資金が最も潤沢な出版社や上場企業も恩恵を受ける点。スイスの5大メディアグループはここ数年利益を上げ、独力で運営資金を工面できていることを踏まえれば、これは経済的に正当化できるものではないという。
 また、国の助成金がメディアの独立性を脅かし、ジャーナリストは第4の権力者としての役割を果たせなくなると訴える。反対派は端的に「経済的な依存はメディアの独立性を失わせる」と主張し、国の助成金は競争を阻害すると語る。
 一方、連邦政府と連邦議会はメディアへの助成金拡大に賛成するよう有権者に呼びかけています。超党派の推進委員会のメンバーには、国民党を除く全政党の議員約100人、メディア企業80社、国境なき記者団を含む15団体が含まれる。
 シモネッタ・ソマルーガ連邦通信相は「この支援策がなければさらに多くの新聞が消滅し、地方のラジオ局が弱体化し、特定の地域がカバーされなくなる恐れがある」と警告しています。

(注:SWI swissinfo.chとは)
SWI swissinfo.ch (以下SWI)は、ニュースや情報を配信するオンラインサイトとして1999年に開設されました。第二次世界大戦では約20万人の在外スイス人にとって故郷の様子を知る唯一の情報源となりました。戦時下や20世紀の大半を通して、短波放送はスイスの中立性と民主的な立場を色濃く反映してきました。
SWIは委任された公共サービスの一環として、スイスの政治、ビジネス、科学、文化、社会などのテーマについて、独立した立場で報道を行っています。

 夕刊廃止こそ日本の新聞を救う

 それでは日本はどうする。答えは簡単です。いわゆる全国紙と呼ばれる新聞は夕刊を即刻やめることです。朝刊、夕刊を発行している全国紙の「セット率」は3割程度でしょう。つまり7割の読者が朝刊しか購読していない。夕刊をとっている読者は、朝刊で同じ記事を読まされる。朝刊しかとっていない7割の読者は、夕刊に掲載される文化・芸能記事を読めない。なんとも不便な作りになっているのです。
 かつて新聞は「軽減税率」の適用を求めて失笑を買いました。そのような失態を繰り返してはいけません。今、夕刊をやめればいいのです。そして首都圏版地方紙、関西版地方紙などの道を戦い取るべきでしょう。
 問題は配達網をどうするか。今、物流・人流の時代です。素人が口をはさむ話ではないでしょう。テレビにはかすかに生き残る道がありそうです。放送法次第ですが。
(2022.02.09)  ※2022.02.14 一部改変

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