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お袋は「ほめ上手」
時には、嘘も方便 3/10

  松尾 英里子 / 白鳥 美子

 「お袋は、教育ママだったからね」
 と言っても、目を吊り上げて「勉強しなさい!」と怒鳴るわけではない。
 「北野家は優秀なんだから、勉強ができて当り前だ」と言い続けて、子どもたちを半ば“洗脳”していたのだと笑う。「最近では『褒め育』なんていう言葉があって、褒めて育てることの大事さを言いますが、お袋はその一歩先をいってたと思います」
 褒められることの大切さを自身の経験で十分感じていることもあり、北野さんも、教育者として、また組織における管理職として「褒める」ことを大切にしている。
 「褒めるときは、みんなの前で褒める。叱るときは、恥をかかせないように配慮する。『一寸の虫にも五分の魂』という言葉がある。学生を虫に例えるわけではないけれど、どんな小さなものにでも魂があるということを忘れちゃいけないと思います。」

 時には、大げさな愛情表現があってもいい。
 学生の頃、学校からお腹ペコペコで帰宅すると、母親がお寿司屋さんに連れて行ってくれる。
 「お前だけだよ。他には内緒だよ」と食べさせてもらうお鮨は格別の味わいだった。
 「兄弟4人の中で、僕に一番愛情を注いでくれるのか。頑張らないといけないな」と胸を熱くしたという。
 だが、兄弟全員が同じことをやられていたことを、後に知った。
 「嘘も方便」――嘘だろうと何だろうと、お鮨の味は変わらない。もちろん、母の愛情の深さも。



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