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「楽屋って、お芝居より面白いわね」

 独立メディア塾 編集部

 椎名麟三(1911年10月1日 - 1973年3月28日)は小説家、脚本家。「私は、ギャフンと参ってしまった。私は、自分の芝居についてこんな手痛い批評を聞こうとは思わなかったからだ」。
(椎名麟三全集16巻「俳優について」から。雑誌『群像』の昭和32年1月号に発表された)

 率直な評論

 椎名麟三は「俳優について」で次のように書いている。
 「私の芝居が上演されているときだった。その幕間に、私は知合いのひとりの中年婦人を楽屋へ案内したのである」
 「俳優さんたちは志那そばをすすったり、メークアップをしたりして忙しげに動いていたのである。中年婦人は、いかにも物珍しそうにそれらの人々の動きを見ていた。そして楽屋から出て来た彼女は、私を振り返ると、生々と目をかがやかしながら感動の溜息でも漏らすようにこういったのであった。」(この後に冒頭の言葉が続く)「だが、彼女は無邪気にも一向私のその気持ちに気付かないでいったのだった」。
 椎名は旧制中学を中退し、職を転々とした。労働運動に関わり、共産党に入党し、1931年(昭和6年)に特高に検挙された。獄中でニーチェ、キルケゴールなどの影響を受け、のちにキリスト教作家になった。代表作は「深夜の酒宴」(1947年)、「深尾正治の手記」(1948年)、「美しい女」(1955年)など。3月28日は「邂逅忌」。

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