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「六十、七十はなたれ小僧、男盛りは百から百から」
「いまやらねばいつできる わしがやらねばだれがやる」

 独立メディア塾 編集部

 彫刻家平櫛田中(1872年2月23日~ 1979年12月30日)が好んで揮毫していた言葉。107歳で没。

 平櫛は86歳で木彫りの大作「鏡獅子」を完成させた。戦争を挟んで20年がかり。モデルの6代目尾上菊五郎はすでに故人となっていた。1962年(昭和37年)、90歳の時にに文化勲章受章を受賞したが、「今ごろになってなんだ。鏡獅子を作ったときにくれた方がよかった」と不満だった。
 82歳で文化功労者に選ばれた時にも「あれはくれんのか」と不満そうだったという。「あれ」とは文化勲章のこと。2メートルを超える鏡獅子は国立劇場のロビーに飾られている。(「人間臨終図鑑」山田風太郎著から)
 「平櫛田中作品集」の解説によると、田中の支援者が制作費を出すことで始められたが、支援が打ち切られてしまったため、その後は独力で制作をつづけたこともあり、20年かかってしまった。ネットの「日曜美術館」によると、国が「鏡獅子」を2億円で買い上げようとしたが、「お金はいりません。この作品は私一人で作ったものではなく、六代目菊五郎さんと二人でこさえたもんです。お金を取ったら、あの世で六代目さんに会ったとき、あいさつのしようがないですよ」と答えて寄贈したという。
 平櫛は百歳になったときに、あと30年は作品を作れる木材を用意していた。最後の作品として地唄舞の武原はんの像が、未完に終わった。

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