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「来年の今月今夜のこの月を僕の涙で曇らせてみせる」

 独立メディア塾 編集部

 尾崎紅葉(1868年=慶應3年1月10日~1903年10月30日)は小説家。表題の言葉は「金色夜叉」の主人公貫一のセリフとして広く知られている。舞台・映画では小説より簡略化された、このセリフが用いられた。
「金色夜叉」は読売新聞に1897年(明治30年)1月1日から1902年5月11日まで断続的に6年間連載された。前編、中編、後編、続編、続続編、新続編の6編からなっている。紅葉は執筆中に37歳の若さで死亡したため未完成の作品であるが、明治の小説で最も大衆に愛された。
 紅葉は10代だった1885年、文学愛好者の集まりである硯友社(けんゆうしゃ)を結成し、同人雑誌の先駆けになる回覧雑誌『我楽多文庫』を発刊した。
 「金色夜叉」は主人公、間(はざま)寛一が、許嫁の宮を銀行家の息子にとられてしまう話。宮の本心を知ろうと、寛一は宮を熱海の海岸で問い詰め、宮を足蹴にする。寛一は絶望して高利貸になり、金銭の鬼と化す。舞台や映画にもなって紅葉の代表作になった。
 小説の中のセリフは以下の通り。
 「吁(ああ)、宮(みい)さんかうして二人が一処に居るのも今夜ぎりだ。お前が僕の介抱をしてくれるのも今夜ぎり、僕がお前に物を言ふのも今夜ぎりだよ。一月の十七日、宮さん、よく覚えてお置き。来年の今月今夜は、貫一は何処(どこ)でこの月をみるのだか!再来年の今月今夜…十年後の今月今夜…一生を通して僕は今月今夜を忘れん、忘れるものか、死んでも僕は忘れんよ!可以下、宮さん、一月の十七日だ。来年の今月今夜になったならば、ぼくの涙で必ず月は雲らして見せるから、月が…月が…月が…曇ったらば、宮さん、貫一は何処かでお前を恨んで、今夜のやうに泣いていると思ってくくれ」。

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