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「私は地下鉄道の車掌として八年活動してきましたが、
一度として脱線させたことはありませんし、
一人の乗客も失ったことはありません」

 独立メディア塾 編集部

 ハリエット・タブマン(1820年ごろ誕生~1913年3月10日)は奴隷だった27歳の時、米国南部メリーランド州から北部に逃亡した。その後、何度も故郷に戻って多くの黒人奴隷を北部やカナダに逃がす支援活動を行った。この支援活動は「地下鉄道( Underground Railroad)」と呼ばれた。(「ハリエット・タブマン 『モーゼ』と呼ばれた黒人女性(上杉忍著)」「女性実力者の系譜」などから。

 「女モーゼ」「黒のモーゼ」と呼ばれて

 ハリエット・タブマンは1850年に逃亡奴隷法ができて脱走奴隷を助けることが違法になったとき、奴隷救出の地下組織である「地下鉄道」に加わった。南北戦争にいたるまで奴隷たち数百人の救出活動に従事した。古代エジプト時代に奴隷になっていたイスラエル人をカナンの地へ導いた預言者モーセになぞらえて「女モーゼ」「黒のモーゼ」と呼ばれた。家族の救出だけでなく、虐げられた人々全体のために自らを捧げるようになっていた。
 「地下鉄道」は鉄道ではなく、奴隷廃止論者や元奴隷が作り上げたトンネル、抜け道、隠れ家などのルートだった。
 南北戦争では連合国側の看護師、スパイなどの任務にあたったが、戦後は年金の支給を拒否された。のちに陸軍から年金を受けたが1908年、高齢者と貧困者の家を建て、亡くなるまでそこですごした。


 2016年4月、当時の米財務長官は2020年の女性参政権獲得100周年を記念して、20ドル紙幣の表面にタブマンの肖像を掲載する方針を発表した。米国の紙幣に女性、黒人女性が印刷されるのは史上初になるが、ドナルド・トランプ大統領はこの計画を「純粋なポリティカル・コレクトネス」の事例と称し計画は延期となった。
 しかしバイデン政権のサキ報道官は「わが国の紙幣が歴史や多様性を反映したものであることは重要で、タブマン氏が新20ドル札の肖像になるのはまさしくそれを反映する。この取り組みを加速する方策を模索している」と述べた。また財務省の報道官は、20ドル札の肖像をタブマン氏に変更する取り組みを実行していると述べた。

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