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「一生を棒に振りし男此処に眠る。」

 独立メディア塾 編集部

 高村光太郎(1883年〈明治16年〉3月13日~1956年4月2日)

 無価値に生きた男の愛

彼は無価値に生きたり。
彼は唯人生に偏満する不可見の理方に貫かれて動きたり。
彼は常に自己の形骸を放下せり。
彼は詩を作りたれど詩歌の城を認めず、
彼の造形美術は木材と岩石との構造にまで還元せり。
彼は人間の卑小性を怒り、その根元を価値観に帰せり。
かるが故に彼は無価値に生きたり。
一生を棒に振りし男此処に眠る。

 高村光太郎は詩人、歌人、彫刻家。1914年、最初の詩集「道程」を刊行。当時、先進的な女性のための雑誌だった「青鞜」の表紙を書いていた長沼千恵子と激しい恋愛の末、結婚。知恵子との愛と死を描いた詩集「智恵子抄」で有名。光太郎の彫刻は青森県十和田湖畔の「乙女の像」。
 知恵子は神経を病み、「九十九里への転地療法も功をなさなかった。もはや人間であることをやめた知恵子」(「明治快女伝」森まゆみ)は、1938年10月5日死去。平塚らいてうらが始めた雑誌「青鞜」の表紙を描いた。

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