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「奴隷は憂鬱と付き合う方法を持っていた。ブルースだ」

 独立メディア塾 編集部

 カート・ヴォネガット(1922年11月11日~2007年4月11日)はアメリカの小説家、エッセイスト、劇作家。この言葉は「これで駄目なら 若い君たちへ―卒業式講演集」から。2004年4月17日、イースタン・ワシントン大学での講演。
 著書に「タイタンの妖女」「タイムクエイク 時震」「スローターハウス5」「国のない男」など。

 「奴隷の持ち主の自殺率は奴隷より高かった」

 ヴォネガットは音楽を愛した。この講演に付けられた見出しは「音楽の慰め(この世はロクでもないことばかりだから)」。
 「アルバート・マレーは(略)奴隷の持ち主の自殺率は、奴隷たち自身よりも高かったと教えてくれた。(略)奴隷たちは、白人の主人たちの知らない、憂鬱と付き合う方法をもっていたからだ。ブルースがあったんだ」。
(ヴォネガットによると、アルバート・マレーはジャズの歴史の専門家。「国のない男」にも同じ話が登場する。)
 第二次世界大戦でドイツ軍の捕虜になり、ドレスデンで連合軍の大空襲を経験した。自分自身「国のない男」を名乗り、メディアや指導者への深い失望を表明している。
 「いまや戦争はテレビの娯楽番組も同然だ」
 ヴォネガットは1960年代、反体制の若者たちの支持を集め、「カウンターカルチャー」(既存の文化に対抗する文化)の英雄として祭り上げられた。ヴォネガットは学校の卒業式の講演によく招かれたが、大学を出ていない。 
 ウィキペディアによると、ヴォネガットから影響を受けた日本人作家としては、第一作の『風の歌を聴け』でヴォネガットのスタイルを模写した村上春樹や高橋源一郎、橋本治等をあげている。

 ヴォネガットは墓碑銘を指定していた。「神の存在を証明するには、音楽だけで十分だ」と。そして、「わたしはシュトラウスのワルツをお別れの曲に指定してある。だからそのときがきたら、ワルツを踊りながら退場できるってわけだ」。

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