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「昔は縁の下に蟻が相撲を取る音を聴いたという話がある」

 独立メディア塾 編集部

柳田国男(1875年=明治8年7月31日~1962年8月8日)は、日本の民俗学者・官僚。明治憲法下で農務官僚、貴族院書記官長、終戦は廃止になるまで最後の枢密顧問官などを務めた。
1951年文化勲章受章。「明治大正史世相編(上)」から。

 外国人には足駄の音が耳につく

 柳田は「時代の音」という一節を設けて新しい音について次のようなことを書いている。
 「耳を澄ますという機会は、いつの間にか少なくなっていた。過ぎ去ったものの忘れやすいは言うまでもなく、次々に現れてくる音の新しい意味さえも、空しく聞き流そうとする場合が多くなった」。
 柳田が1910年に発表した説話集「遠野物語」は岩手県の遠野地方に伝わる伝承119話が収録された代表作。天狗や河童など妖怪に関する話や風習や行事などの伝承が集められている。柳田はこうした作品に庶民の生活を写し取り、民俗学の土台を作った。「時代の音」のなかで音が色容(いろかたち)を以前のままとどめないので、新しい音に心を取られやすい、といい、新しい音の例として足駄(あしだ)を挙げている。
 「ある外国の旅人は日本に来てことに耳につくのは、樫(かし)の足駄(あしだ)の歯の舗道にきしむ音だといった。しかり、これなどは確かに異様である。そうしてまた前代の音ではなかった」。

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