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「人生で最も不幸なのは青春期」

 独立メディア塾 編集部

 アルベルト・モラヴィア( 1907年11月28日~1990年9月26日)は、イタリアの小説家、評論家。ネオレアリズムの代表的存在。「無関心な人々」「軽蔑」「1934年」など多くの作品が日本でも翻訳されている。表題の言葉はインタビュー形式の「モラヴィア自伝」から。
 (「無関心な人々」「モラヴィア自伝」などから)

 「自伝」の訳者大久保昭男の「訳者あとがき」によると、「自伝」は1990年9月26日に完成し、心待ちしていたモラヴィアのもとに、その日の午前中に届けられた。しかし本が届くわずか30分前、シャワーを浴びていたモラヴィアは心臓発作を起こして死亡した。
 インタビューは88年から90年にかけての2年余、常に午前11時から1時間余にわたり行われた。モラヴィアは私事を語ることを拒んできたのでインタビューは親しい作家が行った。
 1940年に発表した「仮装舞踏会」は独裁者をテーマにしたため、発刊直後にムッソリーニ政権に押収され、発売禁止になった。全新聞にモラヴィアには書かせるなという通達まで出た。それまで「プセウド」(仮名の意味)というペンネームで書いていた。
 モラヴィアは日本を三度訪れている。三島由紀夫の2軒の自宅を訪ね、「彼の作品から判断すると、軍人風のあの物腰は、あまりに敏感できわめて特異な感受性を隠すための仮面だったろうとさえ思われる」と感想を書いている。
 「自伝」では東京の最高級ナイトクラブの女性とラブホテルに行った話を含め、女性関係をあけすけに話している。
 表題の言葉は「自伝」の中で「老いは幸せな季節だと思いますか?」という質問に対する答え。
 「人生で最も不幸なのは青春期だと思う。しかし、青春期は老年期よりも容易に孤独に耐えられるし、それを感じないでいることだってできる」。
 「若者は、孤独であるもないも自分次第だということを本能的に知っている。これと反対に老人は、それが他人次第だと知っているのだよ」。

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