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6歳の時に、1.5キロを「逃げ切った」 1/9

  松尾 英里子 / 白鳥 美子

「小さい時から走るのが大好きで、そこらじゅうを駆け回っていた」瀬古さんが、初めて自分の足の速さに気づいたのは幼稚園時代、6歳の時だった。
ある日、幼稚園で、履いていた半ズボンが椅子に座った拍子に破れてしまった。このままでは、恥ずかしい。着替えに帰ろう。そう思って、そのまま園を飛び出して、家に向かって走り始めた。
幼稚園から自宅までの距離は、1.5キロ。驚いて後を追う先生や用務員の方たちを振り切って、最後まで「逃げ切った」。 この話は、近所中で話題になり、「この子はすごい」「将来が楽しみだ」とずいぶん褒められて「とても嬉しかった」ことを覚えている。
小学校の運動会でも、もちろん、常に一番。
だが、部活動に選んだのは陸上ではなく野球だった。


中学時代は野球部で活躍


二人の兄とともに『巨人の星』のアニメに夢中になっていた瀬古さんは、星飛雄馬に憧れ、ピッチャーとして甲子園に行きたいと願って練習に精を出した。
野球部でも、走り込みは、大切な練習の一つ。毎日走り込んでいるうちに、さらに速くなり、駆り出されて片手間に出た陸上の県大会2000メートルで、優勝を果たした。


小学時代の運動会


高校でも野球を続けるつもりだった瀬古さんだが、中学の体育の先生や先輩から「お前、陸上の方が絶対いいよ、高校に入ったら陸上部に入れ」と強く薦められた。
「あの時、野球を選んでいたら、今はなかったと思います」

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