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Facebook、極右のアカウントを削除

元テレビ朝日モスクワ支局長 武隈 喜一

 Facebookへの大手スポンサーの広告出稿中止が話題になっているが、もともとは虚偽情報の掲載や暴力を賞賛するコメントの削除を長年にわたって要請されながら、ザッカーバーグCEOが「Facebookは意見をもったメディアではなく、場貸しのプラットフォームにすぎない」と主張し続けてきたことに原因はある。ところが、さすがに社員のストライキや広告の引き上げがこたえたのか、あるいはBlack Lives Matter運動の風潮に合わせただけなのか、そのFacebookも多少方針を変えたようだ。

  「二度目の南北戦争」を呼びかけ

 Facebookは6月30日、極右暴力団体”Boogaloo”とその活動を支援する「危険な組織」の220のアカウントと106のグループ、95のインスタグラム上のアカウントを削除したと発表した。さらに400を超えるFacebook上のアカウントと100をこえるグループを削除する予定だという。

 “Boogaloo”とは数年前に始まった白人ナショナリストの運動で、その名前は80年代のブレークダンス映画から取ったと言われている。ことにここ数か月の間に社会活動の前面に出てくるようになった。たとえばStay-at-homeに反対し、民主党の知事たちに経済再開を迫る集会や、白人警察官の暴力によって亡くなった黒人男性ジョージ・フロイドさんの事件に端を発する差別反対の抗議行動に真っ向から反発する活動では、自動小銃を抱えて行進を遮るなど、過激な反応を示すようになっている。”Boogaloo”は「二度目の南北戦争」を呼びかけていて、アロハシャツとバンダナと迷彩色の防弾チョッキが目印だ。抗議デモを逆利用して騒ぎを起こし、暴動を煽ろうとしてる、とも見られている。

  暴力助長すれば削除

 連邦検察局は“Boogaloo”が、オークランドの連邦裁判所で警備員が殺された事件にかかわったとしてメンバーを起訴しており、ウィリアム・バー司法長官も先週、極右組織“Boogaloo”と極左集団 ”Antifa”を「反政府過激派」として取り締まりを強化する考えを示している。
 Facebookは今月中旬にも他の極右白人ナショナリスト組織”Proud Boys”や”American Guard“の数百にのぼるアカウントを削除しており、「暴力を助長する文言やマークは削除する」と厳しいスタンスに変わってきている。
 はたしてこれが離れていく広告主をつなぎとめようとする小手先の変化なのか、Facebookが「メディアとしての責任」を果たそうとする方向転換なのかはまだわからない。

(2020.06.30)

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