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「行動は今だ」―武装右翼から大統領への書簡

テレビ朝日アメリカ 社長 武隈 喜一

 首都ワシントンDCには、1月20日に行われるバイデン次期大統領の就任式に向け、治安を維持するために2万人の州兵が動員される予定だ。いま米軍が海外の紛争地域に展開している兵員数は、1月15日に縮小を終えるイラクで2500人、アフガニスタンで同じく2500人。シリアには900人の兵士が残っている。つまり海外に展開する数の3倍を超える兵員を動員して首都の治安維持に当たるのが、「民主主義の盟主」アメリカ合衆国の今の姿だ。

  全米50州で右翼集団のデモ

 FBIによれば、ワシントンDC以外でも、全米50州の各首都でトランプを支持する右翼集団のデモが予定されていて、過激な武装集団も動員を計画しているという。
 バイデン次期大統領も、当初はアムトラック(鉄道列車)でのワシントンDC入りを予定していたが、治安上の不安からアムトラックの使用を止めた。バイデンの住むウィルミントンからワシントンDCまでは通常なら1時間半ほどの乗車なのだが、ワシントンの到着駅ユニオン・ステーションの警備に懸念が残るためだという。
 ミシガン州では議事堂委員会が、銃をむきだしのまま携帯することを禁じたが、銃の携帯そのもののは修正憲法第二条との絡みで禁止できない。ミシガン州では、去年5月にはグレッチェン・ホイットマー知事が新型コロナ対策として導入したロックダウンに抗議する、武装したデモ隊が議事堂に押し入り、夏には右翼武装グループが知事の誘拐を企てた犯罪が摘発されていて、今回もミシガン州司法長官は「ミシガンは、州政府を乗っ取ろうとする組織にとっての重点地域になっている」と懸念を表している。この他、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州、ジョージア州でも武装集団の襲撃に備えて、州議事堂への警備を強化している。

  「あなたは米国の救世主になれるか」

 こうした中、トランプ大統領を支持する右翼武装組織「オースキーパーズ Oath Keepers」が1月13日、トランプ大統領に宛てて公開書簡を出した。
https://oathkeepers.org/2021/01/13/2020-12-open-letter-to-president-trump-you-must-use-insurrection-act-to-stop-the-steal-and-defeat-the-coup/


オースキーパーズの公開書簡

 「トランプ大統領への公開書簡。われわれは今、ワシントン将軍とその軍が1776年に直面していた時と同様の、あるいはそれ以上の危機の瞬間に直面している」に始まるそのアピールは強烈なアジテーションで、トランプ大統領に即座の行動を呼びかけている。
 「これから生まれてくる数百万人の運命があなたの行動と、われわれ武装集団のメンバーと、われわれの憲法に忠誠を誓う何百万人もの米国の退役軍人、愛国者の行動にかかっているのだ」。そして、トランプが4年前の就任式で宣誓した「米国憲法をわたしの力の限り守り抜く」という言葉を引用し、「これはあなたの尊厳を決する瞬間だ。あなたがワシントンやリンカーンのように歴史の中で米国の救世主としての位置を占めるのか、あるいは1月20日(バイデンの就任式)にわれわれ人民を、正統性のない中共の傀儡政権との革命/内戦の戦闘の中に見捨てるのかである」。

  「反逆法」で反米勢力を取り除け

 そして公開書簡は、米国は共産主義との闘いに勝利しなければならず、中国共産党の傀儡であるバイデン政権を許してはならない、と述べる。そのうえで、「負けを認めてはならない。1月20日まで待ってはならない。行動は今だ」とトランプを煽り立てる。さらに「反逆法」を適用して、軍と武装勢力に権限を与えて国内の反米勢力を力で取り除け、と呼びかけている。
 「オースキーパーズ」は2009年3月に結成された極右武装集団で退役軍人や元警察官らが中心だ。全米で3万5千人以上のメンバーがいると言われ、1月6日の議事堂占拠にも加わっている。
 今回の公開書簡に署名しているのは「オースキーパーズ」の設立者スチュワート・ローデスとテキサス州の元検察官ケリー・ソレルだ。ローデスはイェール大学ロースクールの卒業生らしく、公開書簡の中でバイデンと民主党勢力を排除するための具体的な方法と法的手続きを細かく列挙し、最後にこう呼びかける。
「数百万人の米国の退役軍人、警察退職者、愛国的銃保有者は銃を取れというあなたの呼びかけに応え、その命令に従い、事をやり遂げる準備ができている」。
 就任式まではまだ6日ある。
(2021.01.14)

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