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2020年9月号

ムーア監督、「トランプ再選」の警鐘

テレビ朝日アメリカ 社長  武隈 喜一

 2016年の選挙でドナルド・トランプの勝利を早くから予想した数少ない人物であるマイケル・ムーア監督が、自身のFacebookで「トランプへの熱狂は急速に高まっている」と投稿し、トランプ再選の可能性が高まっていることに警鐘を鳴らした。
 マイケル・ムーア監督は2016年10月、まだ「ヒラリー・クリントン絶対有利」と見られていた時期に「トランプが選ばれたら、人類の歴史に記録された最大のf***になる。どうやらそうなりそうだ」とトランプ支持者の熱狂が確かな土台をもつものだととらえ、クリントン優勢の声の中で異議を唱えたが、その時には、天邪鬼なムーア流の皮肉な言動にすぎないと一蹴された。

  「傷ついた人に語り掛けるトランプ」

 ムーア監督はその時の根拠として「トランプは傷ついている人びとに物事を語り掛けている。それが、かつて中流層と呼ばれた、打ちひしがれ、名もなき、忘れられた労働者たちがトランプを愛する理由なのだ」と述べていた。そして今回もCNNの世論調査でトランプ、バイデン両候補が、勝敗のカギを握るミネソタ州で47対47と並んだことを受けて、「トランプ有利」と判断している。ことにバイデン陣営がスウィング・ステーツを訪れて選挙運動を展開すると発言していながら動きが遅く、激戦のミシガン州がその遊説予定の中に入っていないことに危機感を募らせている。

  「岩盤層の熱狂高まる」

 今回の投稿で、ムーア監督は「あなたはトランプの勝利に準備はできているか。再びトランプに出し抜かれることに心の準備はできているか。トランプが勝つわけはないという確信が心地よいだけなのではないか」とバイデン支持者たちに問いかけている。「10週前に警告しておくが、トランプの岩盤層6000万人の熱狂のレベルは急速に高まっている。バイデン側はそれほどではない」とトランプ支持者の熱狂ぶりと、バイデン陣営の盛り上がりのなさを冷静に比較したうえで、こう警鐘を鳴らす。
 「トランプを引きずり下ろすことを民主党だけに任せていてはいけない。あなた自身がトランプを引きずり下ろさなければならない。これからの67日間、私たちは毎朝、目が覚めたら、百人を投票所に連れて行くぞ、と固く誓わなければならない。ACT NOW」。
(2020.08.30)

武隈 喜一

テレビ朝日アメリカ 社長

1957年東京生まれ。上智大学外国語学部ロシア語学科、
東京大学文学部露西亜文学科を卒業後、出版社、通信社などを経て
1992年テレビ朝日入社。1994年から1999年までモスクワ支局長。
2010年から12年まで報道局長。2016年7月からテレビ朝日アメリカ社社長。ニューヨーク在住。

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