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「Antifa」の偽造アカウント

テレビ朝日アメリカ 社長 武隈 喜一

 白人警官の暴力によって黒人男性ジョージ・フロイドさんが死亡した事件をきっかけに全米で抗議活動が広がっている。一部で略奪や暴行が発生したことを受けて、トランプ大統領は5月31日、「Antifa」を国内のテロリスト集団に指定した。
 しかし、Antifaはファシスト団体に対抗する(Anti-fascism)左翼運動の呼称で、特定の指導者をいただく団体や組織があるわけではない。2017年夏、ヴァージニア州チャーロッツヴィルで起きた右翼団体集会への抗議活動でその存在が知られるようになったが、トランプ政権誕生後、目に見えて活発になったalt-right (オルトライト=極右勢力、人種差別団体など) に対抗するという以外、綱領や細胞を持つ組織ではなく、むしろネットワーク的な「運動体」だ。
 ただし、オルトライトの暴力行為がエスカレートするにつれ、Antifaの対抗措置も暴力的になってきていることは確かだ。もともと米国には「言論の自由」との兼ね合いで、国内的なテロリズム法はなく、国内の運動をテロリズムに指定したトランプ大統領の宣言そのものの合法性が問われている。

  「白人襲え」の偽呼びかけ

 そのAntifaを名乗るアカウントが、抗議活動に乗じて、さかんに略奪と白人に対する暴力をTwitter上で呼びかけていたが、Twitter社広報によれば、Antifaを名乗るアカウントは、白人ナショナリスト団体Identity Evropaによる偽アカウントだった。偽アカウント上では「今夜だ、同志たち。今夜”Fuck The City”。そして住宅地に行く……。白人たちを襲い、俺たちのものを取り返すのだ」などの呼びかけが続き、このツイートは31日だけで500回以上もリツイートされた。また#BlacklivesMatterなどに紐づけされていて、暴力活動が黒人の権利運動に直結しているように見せかけている。


Antifaの偽アカウントの呼びかけ

  大統領はテロリストの認定

 この偽アカウントはTwitter社の規則に違反するとして翌日には削除された。しかし、Twitter社によれば、この白人至上主義団体Identity Evropaはこれまでに何度も@ANTIFA_USのアカウントを偽造して、憎悪と暴力を増幅する内容のツイートを繰り返してきているという。
 トランプ大統領は、Antifaをテロリスト集団に認定した理由として、Antifaが全国的に破壊活動を組織したと述べているが、米国メディアによれば、その確たる証拠は示されていない。むしろ、白人ナショナリストが抗議活動の炎上を暴動へと煽り立てているのではないか、と見ている。
 Twitter社としては、抗議活動が続く間は、暴力を煽る言動のモニター活動を強化する予定だとしている。

(2020.06.03)

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