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2020年11月号

投開票日を楽しむ基礎知識

テレビ朝日アメリカ 社長  武隈 喜一

 『ワシントン・ポスト』紙(10月27日)が「投票日の夜とその後の究極のサバイバル・ガイド、質問と回答」として、注目点を整理している。なかには「投票所にいって〈あなたは投票できない〉と言われたらどうするか?」「投票所での投票は感染の危険があるか?」「投票所では暴力を振るわれないか?」など、投票に関する深刻な問いもあるが、ここでは3日の開票速報以後を見てみよう。
(時間はいずれも東部時間)

■どの州から結果が出始めるか?

・ケンタッキー州とインディアナ州は6時に投票が終了する。しかし、この2州はトランプ勝利確実な州だ。
・フロリダ州は7時に閉まる。ここからローラーコースターが始まる。
・ペンシルベニア州とミシガン州は8時、ウィスコンシン、アリゾナは9時に閉まる。
・フロリダ州とコロラド州は期日前投票と郵便投票を大量に処理してきた経験があり、他の州よりも早く中間報告が出る可能性がある。コロラド州は投票受付後すぐに集計し、フロリダ州でも投票日の1週間前から集計をスタートしている。アリゾナ州も二年前の中間選挙では80%が期日前投票だったが、集計には時間がかかる可能性がある。
・ペンシルベニア州とウィスコンシン州は、11月3日当日まで郵便票をカウントしない。またペンシルベニア州は投票日前に投函された票であれば、3日後まで受けつけている。
・ミシガン州は投票日の10時間前までは郵便票をカウントしない。結果の公表は遅れるだろう、とすでに声明を出している。
・ノース・カロライナ州は、期日前票は直後に集計を開始するが、期日前票の到着受け付けは11月12日までに延長した。
・オハイオ州は7時30分現在の開票状況を非公式に伝えるが、正式な結果は1、2週間後となる。

■ニュース番組の開票速報は、例年と違うのか?

・ロイターでは「スピードより透明性、正確性」を重視するとしている。
・NBCは99.5%確実なところで当確を伝える。
・『ニューヨークタイムズ』はすでに、翌日の新聞では激戦州の勝者の名は出さないだろう、と言っている。
・CBSは激戦州については出口調査を使って、その時点での傾向を見せるにとどめる。

■どの州を注目すればいいか?

・フロリダ州、ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州。
これらの州は2候補がもっとも競っている州で、270人目の選挙人を決める州となる可能性が大きい。
・もしバイデン候補がウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルベニア州、メーン州の、オバマからトランプへ流れた、郊外の白人労働者の票を取れば、勝利に近いと言える。

■一番早く勝者がわかる可能性は?

・最初の方で開票結果が出るであろうフロリダ州やコロラド州で、大差で勝つ候補が出れば、その候補が勝つ可能性が大きい。

■最悪のシナリオは?

・激戦州の結果が数週間、数か月かかっても出ず、議会に持ち込まれるケースが最悪だろう。
・ミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州は大量の郵便票の処理に慣れていないため、この3州では全票の集計が終了するまでに数週間かかる可能性がある。
・すでに郵便票を巡っては200件以上の訴訟が起きている。

■メディアの報じる当選者ではない候補者が勝利を宣言した場合、どうなるのか?

・どうもならない。ニュースメディアが当選を打つのは、十分な情報があるからだろうが、しかし選挙結果には公的な証明が必要。候補者も自分で勝利を宣言したところで、大統領になれるわけではない。
・メディアは誤報を避けるため、当打ちには慎重になるだろうが、勝利宣言によって有利になるとみた候補者が勝利宣言をすることはありうる。

■公式な結果はいつ出るのか?

・普通の選挙では、開票の過程で勝者がわかるので「公式結果」は儀式に過ぎないが、混乱が起きることを想定するならば、次の日付が重要。
・12月8日 州が選挙人を決める日。この日までに決まらない場合も、なお6日間はカウントの猶予期間がある。
・勝者についてクレームが出た場合はさらに複雑になる。
・12月14日 選挙人投票日。通常は形式だけだが、州知事と州議会が別々の選挙人を出したことが1876年にあった。複数の州で係争が続き、両候補とも過半数が取れない場合は1月6日に持ちこされる。
・1月6日 副大統領が議会に12月14日の投票結果を伝え、結果を承認し、大統領と副大統領を指名する。この時点まで係争が続いていた場合は、新たに選出された議会構成によって決まる。ペンス議長が議事進行し、もし上下両院が民主党多数ならばバイデン、両院で共和党多数ならばトランプが大統領となる。
・1月20日 大統領就任式
(2020.10.26)

武隈 喜一

テレビ朝日アメリカ 社長

1957年東京生まれ。上智大学外国語学部ロシア語学科、
東京大学文学部露西亜文学科を卒業後、出版社、通信社などを経て
1992年テレビ朝日入社。1994年から1999年までモスクワ支局長。
2010年から12年まで報道局長。2016年7月からテレビ朝日アメリカ社社長。ニューヨーク在住。

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