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議会に突入、名うての陰謀論者、右翼たち

元テレビ朝日モスクワ支局長 武隈 喜一

 1月6日に首都ワシントンDCでの暴動の旗振り役が徐々にあぶりだされている。CNNなどによれば、多くが陰謀論組織QAnonや、〈プラウド・ボーイズ〉など、トランプ支持を表明してきた過激な武装団体の組織者たちだ。

  「トランプ大統領は救世主」

 顔をアメリカ国旗の赤・白・青の三色に塗り、水牛の角をつけた毛皮のヘルメットをかぶる男は、アリゾナ州に住むジェイク・アンジェリ Jake Angeliという〈QAnonシャーマン〉として知られる陰謀論の中心人物だ。アンジェリは、トランプに反対する民主党や共和党の議員や政府関係者は悪魔崇拝の児童性愛嗜好者で「裏切り者を絞首台にかけるまでは、本当の希望はない」とフェイスブックやツイッターに投稿を続けている。アンジェリはトランプ支持集会の常連で、アリゾナの開票センターで「不正な選挙」に抗議するデモを開くなど、「選挙は不正だ!」と主張するトランプ大統領を救世主と称えている。


ニック・オクス(〇印)

 そして武装した集団の中にいるのは、〈プラウド・ボーイズ・ハワイ〉の創設者ニック・オクスNick Ochsだ。オクスは暴挙の最中に「議事堂からハロー lol」とツイッターに投稿していたが、極右グループの中では有名な扇動者だ。6日夜、CNNのインタビューに答えたオクスは「俺たちは議事堂に侵入したんじゃなくて、散歩しながら動画を撮っただけだ」とうそぶいている。


ジョネットの撮った動画

 そして25分間の動画をライブでツイッターに投稿し続けたのが、ティム・ジョネットTim Gionetだ。ジョネットは2017年夏のシャーロッツビルの”Unite the Right”(右翼よ、結集せよ)の大会に参加している。シャーロッツビルでの武装右翼とアンティーファの衝突は、米国では散発的に各地で組織されてきた過激なトランプ支持の白人至上主義グループが一堂に会して活動を暴力化した集会だった。ジョネットは多くのオンラインプラットフォームから投稿禁止措置を受けている。


 ナンシー・ペロシ下院議長の執務室の椅子にふんぞり返った写真に写るのは、「ビゴー」ことリチャード・バーネットRichard “Bigo” Barnettだ。60歳になるバーネットはアーカンソー州の銃保有推進団体のリーダーで、その日の朝に、「時は今。愛国者を守るベストな行動をしよう」とツイートしていた。

  「もし議事堂突入が黒人だったら」

 彼らはトランプ政権の発足とともに、活動を活発化してきた過激な組織のリーダーたちで、彼らが一堂に会していること自体、この日の集会が、当初からデモ行進では収まらない計画をもっていたことをうかがわせる。
 彼らはこれまでのところ一人として逮捕されていない。『ガーディアン』に寄稿した黒人活動家デレッカ・パーネルが嘆いているように、「もし、これが黒人だったら、国家の暴力装置はどう対処していたのだろう?」と想像すれば、トランプ政権が誰のための政府だったのか、よく理解できるように思える。

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