ゲスト様

2020年7月号

子供をネット被害から守れ ニュージーランド、本気の試み

テレビ朝日アメリカ 社長  武隈 喜一

 デジタル・ネイティブの子供たちをインターネットの脅威からどのように守るかは、世界共通の課題だ。親の世代よりも楽々と、空気のように携帯やPCを使いこなす一方、若者たちを狙った犯罪やフェイクや情報過多の弊害も多い。ことにStay-at-homeが続く現状では、ネットでのいじめやなりすましチャットなど、例年以上に子供たちが危険にさらされている。


 こうしたなか、ニュージーランド政府が作る、動画シリーズ ”Keep It Real Online”が注目を集めている。これは、6月からニュージーランド内務省と教育省などが連携して政府広報として始めたものだ。それぞれ60秒ほどの動画 (制作はMotion Sickness, New Zealand)で、テレビやソーシャル・メディアを通して見られている。
 テーマは、ネット上のいじめ(bulling)や、暴力シーン、ポルノ動画やセックス情報、児童ポルノから子供をどう守るか、大人は何をするべきかという真面目なものなのだが、動画は面白く工夫されている。


 最新作では、ポルノ女優と男優がとつぜん全裸で一軒の家を訪れ、出てきた母親に「息子さん、いつもPCや携帯で私たちを見てるんだけど、彼はまだ、リアルな性関係について知らなくてもいいと思うんだけど」と語りかける。母に呼ばれて部屋から出てきた男の子は、全裸の二人を見て、思わず持っていたお皿を落とす、というものだ。





 「こうした問題を取り上げる時、両親は自信を持たないといけないと思います。両親こそが子供たちの安全の守るベストな大人なのですから」とこのキャンペーンを担当するスポークスマンは言う「答えを持つ必要はないのです。ただ、子供たちを支えて、オンラインの荒波に立ち向かう〈大人の〉ガイダンスを与えて上げられればいいのです」。
 アーダーン首相という、若い女性の政治家を生むニュージーランドという国のユーモアと懐の広さがわかるキャンペーンだ。

*キャンペーンは以下
https://www.keepitrealonline.govt.nz/
(2020.06.15)

武隈 喜一

テレビ朝日アメリカ 社長

1957年東京生まれ。上智大学外国語学部ロシア語学科、
東京大学文学部露西亜文学科を卒業後、出版社、通信社などを経て
1992年テレビ朝日入社。1994年から1999年までモスクワ支局長。
2010年から12年まで報道局長。2016年7月からテレビ朝日アメリカ社社長。ニューヨーク在住。

お知らせ

新着記事

ページトップに戻る