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「悪いことがフィラデルフィアで起きている」

テレビ朝日アメリカ 社長 武隈 喜一

 9月末の第1回討論会でトランプ大統領は言った。
 「悪いことがフィラデルフィアで起きている。何万もの票が捏造されている」。
 フィラデルフィア市は最大の激戦州ペンシルべニア州の中心都市だ。ワシントンとニューヨークとのほぼ中間に位置し、独立宣言が採択されたのもこの町に今も残る議事堂でのことだった。ワシントンDCに移るまで、フィラデルフィアが米国の首都だった時期もある。

  大量の郵便票に「不正がある」

 この町に全米の目が注がれている。2016年の選挙では、勝ったトランプと負けたヒラリー・クリントンとの票差はわずか4万4千票あまりで、州全体の投票数の0.7%という僅差だった。
 2016年の選挙では、フィラデルフィア選挙区の期日前票はわずか6000票だったが、今年は郵便票と合わせると40万を超える見通しだ。しかも郵便票、期日前票とも、集計は11月3日の午前7時からだ。投開票日当日の夜には結果は出ない。開票要員には初めての人も多く、機械類も初めて使われるものだ。フィラデルフィアでは大量の郵便票を処理した経験がないことから、今年は開票日前からの郵便票集計が可能になるよう民主党側は主張したが認められず、11月3日午前7時からの集計作業となった。そのうえ投票日前に投函された票であれば、3日後まで到着を受け付けているため、正式な結果が出るまで1週間近くかかるのではないか、という声もある。

  トランプ、一方的勝利宣言?

 なぜフィラデルフィアが注目されているかと言えば、こうした状況の中、トランプ陣営が、票がすべて開かないうちに、リードしている州で勝利を一方的に宣言し「郵便票には不正がある」と訴えて集計を混乱に陥れる”Red Mirage”(赤い蜃気楼)を仕掛けるには、もってこいの条件がそろっているからだ。
 フィラデルフィア以外の州内の選挙区では圧倒的にトランプ支持者が多いことから、3日の開票では、まずトランプ票が積み上げられる可能性が高い。しかもトランプ陣営は「選挙の不正を防ぐ」という名目で、独自の「監視グループ」をフィラデルフィアに送り込むことにしているとともに、11月3日の消印があれば、その後に届いた票も受け付けるという規則が不正の温床だという主張も繰り返し表明してきている。
 そのうえ10月26日にはフィラデルフィアで、ナイフを持った黒人男性が警察官に射殺され、抗議行動が激化し、”Black Lives Matter”の活動家とトランプ支持者が一触即発の状態にある。 10月31日にはトランプ陣営は州内4か所で立て続けに集会を開き、「ペンシルべニアを取れば全米を取れる」と言い放った。
 ペンシルベニア州の開票は11月3日午後8時(日本時間4日午前10時)から始まる。

(2020.11.01)

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