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2020年7月号

トランプ集会つぶした? TikTokのZ世代

テレビ朝日アメリカ 社長  武隈 喜一

 新型コロナウイルス感染の拡大で休止していたトランプ大統領の支持者集会が、6月20日、オクラホマ州タルサで再開された。トランプ陣営では1万9200席の会場一杯に支持者が集まると予想し、会場に入れなかった支持者のためにわざわざ屋外にトランプ大統領とペンス副大統領を登場させるステージまで準備した。しかし、終わってみれば、会場はスカスカで、参加数は3分の1にも満たない6200人だった。これを機に選挙戦へ向けて勢いをつけたかったトランプ陣営としては出鼻をくじかれた形だ。


スカスカのトランプ支持者集会

 タルサでの集会を前に、選挙キャンペーン責任者のブラッド・パースケイルは、「選挙運動の本格始動だ」と息巻き、100万人の入場チケット予約があったと誇らしげにツイートしていたが、終わってみれば、あまりの入場者の少なさに、「抗議行動が支持者の入場を邪魔したからだ」と不満をぶつけた。

  Z世代のTikTokで拡散

 この予想外のスカスカ会場について、どうやら若者に人気のショート動画プラットフォームTikTokを使うZ世代(1990年代後半から2010年前半生まれの世代)が一枚噛んでいたようだ、とCNNやNew York Timesが伝えている。
 それによれば、TikTokの若いユーザーたちが、「トランプ集会を予約して、チケットを無駄にしよう」と言うアピールを投稿し拡散させていた。トランプ集会サイトに登録し、無料で2席を予約する。当然行く気はないから、この2席は空席になる。これを賛同者が繰り返せば、会場は空席だらけになる、という計画だ。この予約方法とアピールは軽快なダンスに乗せて拡散され、70万人以上がこのアピールを見たと言われる。
 TikTokは2017年に中国のDyteDance社が米国の若年層を狙ってスタートしたショートビデオの投稿サイトで、特殊効果を使った編集で人気を博している。仕事の合間に見始めると、止まらなくなるほど面白い。いまでは日本を含めて150か国以上で展開し、ユーザーは5億人を超えている。この5月には、DisneyでDTCを担当し、動画プラットフォームDisney+の立ち上げを成功させたケヴィン・メイヤー氏がTikTokのCEOに引き抜かれ、DyteDance社に移ったことも話題になった。

  反差別よりもっと若い世代の抗議

 このZ世代のTikTok作戦が実のところ、どの程度功を奏したのかはわからないが、感染拡大が続くオクラホマ州で大規模屋内集会を開催したトランプ陣営に後味の悪さを残したことは確かだ。なにしろ、黒人差別に抗議して連日集会やデモを続ける世代よりもさらに若い世代による静かな抗議行動だからだ。
 トランプ大統領は集会からの帰途、参加人数の少なさに激怒したと言われていて、選挙キャンペーン責任者のパースケイル氏は「左翼とオンライントロールたちは集会に衝撃を与えたと勝利面をしているが、実際には集会直前の1週間、フェイクニュース・メディアが盛んに新型ウイルスの恐怖心を人々植え付けたため、支持者が会場に来なかったのだ」と必死に反論している。

(2020.05.26)

武隈 喜一

テレビ朝日アメリカ 社長

1957年東京生まれ。上智大学外国語学部ロシア語学科、
東京大学文学部露西亜文学科を卒業後、出版社、通信社などを経て
1992年テレビ朝日入社。1994年から1999年までモスクワ支局長。
2010年から12年まで報道局長。2016年7月からテレビ朝日アメリカ社社長。ニューヨーク在住。

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