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2020年11月号

バイデン陣営、最終週に56億円のCM

テレビ朝日アメリカ 社長  武隈 喜一

 トランプ陣営は運動資金不足によって、フロリダ州、アイオワ州、ネバダ州でのTV広告を取りやめたが、投票日までの最終週で、バイデン陣営は5410万ドル(約56億8000万円)をTVのスポットCMにつぎ込む予定だ。これはトランプ陣営が予定する2690万ドル(約28億2000万円)の2倍にのぼる。

  ブルームバーグも資金投入

 Advertising Analyticsの分析によれば、民主党の予備選にも出馬した億万長者のマイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長は今週、テキサス州とオハイオ州で、バイデンを支持しトランプ政権の新型コロナウイルス対策を非難するスポットCMに1500万ドル(約15億7000万円)を投入した。2016年の選挙では、トランプはテキサス州では9ポイント、オハイオ州では8ポイントの差をつけてヒラリー・クリントン候補に勝利したが、今回の選挙では両州でバイデン候補と互角の戦いとなっている。ブルームバーグ氏は、フロリダ州のTVスポットにも1億ドル(約105億円)を投下している。
 バイデン陣営は、最後の1週間で、ペンシルベニア、フロリダ、アリゾナ、ミシガン、ノース・カロライナ、ウィスコンシン、ジョージア、アイオワ、オハイオ、ネバダ、ミネソタ、テキサス、ニューハンプシャーの各州で積極的なTV広告を展開していて、すべての州でトランプ陣営の投下額を上回っている。
 一方、トランプ陣営は、選挙運動資金はもはやRNC(共和党全国委員会)とスーパーPAC ”America First Action” に頼るほかなく、当初予定していたTV広告の中止が続いている。トランプ陣営も最大の激戦州であるペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガン、ミネソタ、オハイオの5州ではTVスポットを増やしたものの、早くから予約していたニューハンプシャーでの92万ドル(9660万円)分のCMをキャンセルした。ネバダ州とアイオワ州でもスポットCMの数を減らしているという。

  「勝敗決する地上戦」

 今週トランプ陣営がフロリダ州に投下するTV広告費は先週の420万ドル(約4億4000万円)から290万ドル(約3億円)へと、大きく減っていて、バイデン陣営の1510万ドル(約15億8000万円)の5分1となっている。
 9月1日以降、両陣営と支持団体が使ったTV広告費とデジタル広告費の合計はすでに8億1400万ドル(約854億円)を超えているが、バイデン陣営のストラテジストは「メディアキャンペーンは、勝敗を決する政治的地上戦だ」と語り、ラストスパートでのさらなる集中的資金投下にも備えを進めている。

(2020.10.28)

武隈 喜一

テレビ朝日アメリカ 社長

1957年東京生まれ。上智大学外国語学部ロシア語学科、
東京大学文学部露西亜文学科を卒業後、出版社、通信社などを経て
1992年テレビ朝日入社。1994年から1999年までモスクワ支局長。
2010年から12年まで報道局長。2016年7月からテレビ朝日アメリカ社社長。ニューヨーク在住。

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