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なんとなく…なんとなく

テレビ屋 関口 宏

 新型コロナウィルスを抱えたままの年越しも3年目。正式名「COVID-19」からすれば、足掛け4年ということになりますが、実感としてはやはり3年目なのでしょう。もうそろそろ終息に向かってくれてもいいのではと、誰しもが望むところです。

 先月もこのコラムで触れましたが、およそ100年前に世界中で猛威をふるったスペイン風邪(死者は4000〜5000万人と言われています)では、ほとんど実態も掴めぬまま、それでも2年半〜3年で終息したそうです。となれば今回もそろそろ……という気持ちになることも否めません。

 ただ、「皆さーん、もう大丈夫ですよ。全て終わりました!」というような宣言が、WHOからも各国首脳からも出されることはないと思われます。
 なんとなく…なんとなく…なんとなく警戒心が解かれ、なんとなく…なんとなく…なんとなく…気がつけば日常生活が戻っているというようなことになるのでしょう。

 我がテレビ業界も例外ではありません。秋から年末にかけて、感染者が不思議なくらい低くなった時には、規制をやや緩めて、リアル出演(実際にスタジオに来ていただく)を増やす傾向が見られました。もちろん一方ではオミクロン株の動向をにらみつつ、いつでも規制強化できる体制を維持しているのですが、以前にもお話ししたように、リモート活用のテレビ番組には限界があります。同じ空気の中で、何がしらかの気配を感じつつ広がってゆく会話が、リモートでは一問一答、事務的なやり取りに終わってしまいがちです。そして番組も深まりません。テレビ制作者は誰しもがこの難題に悩まされたのです。

 スタジオの中でも人と人との距離に神経を使い、間々にはアクリル板を置きます。これはこれでうざったいのですが、リモートとは大違い、この方がはるかに進行しやすくなるのです。


 私が担当するBS-TBSの『関口宏のもう一度!近現代史』(土曜日・昼・12時)でも、出演者は私と作家の保阪正康氏の二人だけなのですが、いっときリモートを余儀なくされ、番組が壊れそうになったことがありました。それこそ私と保阪氏の一問一答形式になってしまい、楽しい会話が成立しなくなってしまったのです。慌てたスタッフはスタジオでの私たちの距離を目一杯広げ、間に強力なアクリル板を立ててどうにか前の雰囲気を取り戻したのです。

 その『関口宏のもう一度!近現代史』ですが、いよいよこの春頃には、日本が再び独立を認められるサンフランシスコ講和条約に至り、一旦、幕を降ろすことになります。

 「大政奉還」「明治維新」から「日清・日露戦争」を経て、「第一次世界大戦」(スペイン風邪の流行中)で戦勝国となり、以後、領土拡大、資源確保に走った日本が、「日中戦争」「太平洋戦争」の末、「明治維新」でゼロから作り上げた新国家を、わずか80年でゼロにまで瓦解させてしまった歴史を保阪正康氏に解説いただいた2年半になりました。

 当初1年程度でまとめるつもりが、「あれも大事だ」「これも必要」と保阪氏とも相談しながら進めてきた結果が2年半の大作になりました。

 そしてこの後の企画についてはまだ確定していません。せっかくこの番組についてくださった視聴者の方々のご期待に添えるようスタッフ一同、暗中模索の最中です。

 近々このコラムでご報告したいと思っています。

 テレビ屋  関口 宏

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