ゲスト様

2020年3月号

自分事

テレビ屋 関口 宏

 2020年。「今年は何か大きなことが起こる」と正月早々ある友人から聞かされていました。干支は「庚(かのえ)」、十二支は「子(ね)」。と言われても私にはチンプンカンプン。何でも「関ヶ原の戦い」があった年回りに当たるとか。それでも私には、「だからどうした」程度の理解しかできませんでしたが・・・
ご承知の「新型コロナウィルス」の猛威。このコラムをお読みいただいている時点で状況がどうなっているか見当もつきませんが、友人の言は当たっていたとしか思えません。

 私は2年前インフルエンザにやられて以来、うがい・手洗い・マスクには気をつけてきたつもりですが、2月末現在、感染者によっては、感染ルートが複雑化し過ぎて特定できない段階にまで来てしまった今回の「新型コロナウィルス」。いつ、誰が、どこで感染したのかが判らないとなると、いつそれが我が身に降りかかるかという不安は拭えません。そして同じ想いを持たれている方が沢山いらっしゃる、いや、ほとんどの方が想いを同じにしているのではないかと思われます。つまりこれはもう「他人事」で済まされる事態ではなく、「自分事」として捉えざるをえない現象を生んでいるのでしょう。

 考えてみれば、起こった出来事をほとんどの人が同じ想いで、「自分事」として捉える現象というのは今までにどれほどあったでしょうか。あの昭和の終戦の日の想いでしょうか、9・11/ニューヨーク・世界貿易センタービルのテロ事件でしょうか、更には3・11/東日本大震災への想いだったでしょうか。衝撃的な現実を知った上で感じる不安はどこか似ているような、でも「自分事」の捉え方が、人によって多少ニュアンスが違うような、そんな気が私にはするのですが、皆様はいかがでしょうか。

 目まぐるしく変化する現代社会。日々起こる出来事。でもそのほとんどの出来事がどこか「他人事」になってしまう私達。政治のゴタゴタ「あぁ面倒臭い」、世界の揉め事「あぁ良く分からない」。自分には関係ないと思った瞬間、出来事は「他人事」になってしまうのでしょう。



 でも、昔から言われている「風吹けば、桶屋が儲かる」ではありませんが、世の中、次々起こる出来事は、一見自分には何の関係もないことのように見えながら実はどこかで繋がっていて、自分も大なり小なり影響を受けたり及ぼしたりしている事が沢山あるのでしょう。そんな目に見えない連鎖、この地球に生きる者としての運命共同体的感覚を、今回の「新型コロナウィルス騒動」で「自分事」として実感せざるを得ない稀な状況に、私達は置かれているのかもしれません。

 そう考えますと、スウェーデンの17歳、グレタ・トゥンベリさんが訴える地球環境問題も、世界中の人々が「他人事」ではなく「自分事」として捉えてもらいたいという切なる願いに聞こえてきます。しかしトランプ大統領は歯牙にもかけぬ態度です。彼を支持する経済界への選挙戦略とも言われますが、本音の部分でもトランプ大統領にとって地球環境問題や温暖化は、まだまだ「他人事」であって、「自分事」にはなっていないのでしょう。それを私達も批判してばかりはいられません。私達の中にも「私一人に何ができるか」「いいじゃないかこれ位」「そのうち何とかなるさ」的「他人事感覚」が根深く居座っています。

 そんな中、寒いはずの南極大陸で、20度を越す高温が記録されました。温暖化現象も待ったなしのところまで来ているのでしょうか。そしてこの「地球環境問題」も、今回の「新型コロナウィルス」の問題も、「自然」が私達に問いかけているメッセージは同じなのかもしれないと思い始めています。

      テレビ屋  関口 宏

関口 宏

テレビ屋

3代にわたる江戸っ子(祖父は神田の火消し、父は映画俳優、佐野周二)。
昭和38年NET(現テレビ朝日)シオノギ劇場「お嬢さんカンパイ」でデビュー。フジテレビの「スター千一夜」の司会を務めた後、TBS「クイズ100人に聞きました」「わくわく動物ランド」「関口宏の東京フレンドパーク2」「サンデーモーニング」、読売テレビ「ワンダーゾーン」「どっちの料理ショー」、日本テレビ「知ってるつもり!?」など幅広いジャンルの番組で司会者として活躍。
 一方で、昭和52年には小柳ルミ子「星の砂」の作詞で日本作詞大賞作品賞を受賞。2012年に文藝春秋社から「テレビ屋独白」(文藝春秋)出版。

現在出演中番組
TBS:「サンデーモーニング」(日曜8:00~9:54)
BS−TBS:「関口宏のもう一度!近現代史」(土曜12:00〜12:54)

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